なぜ渋野日向子も帰ってくる6.25女子ゴルフツアー開幕戦「アース・モンダミンカップ」のテレビ中継はないのか?
詳細は不明だが、テレビ朝日が手を引いた背景には、JLPGAとツアーを中継する各テレビ局の話し合いが平行線をたどったままの放映権問題があるのは明白だろう。 放映権問題は2013年にJLPGAが社団法人から一般社団法人に移行し、税率が大きく上がったことを解消する手段として小林会長が打ち出したことを機に勃発した。小林会長は放映権のJLPGAへの帰属をトーナメントを放送する各テレビ局に求めたが、当然ながらテレビ局側は一斉に反発した。大きな理由はJLPGAが主催者としてのリスクを負わずに権利だけを主張してきたこと。そして、小林会長が一方的に通告したことで感情的なもつれも生じた。 小林会長は、テレビ局の思惑に左右されないインターネット中継の全試合導入をかねてから模索していたが、その計画は遅々として進んでいなかった。そこで助け舟を出したのが、今大会の主催者であるアース製薬だった。 放映権問題を契機に各大会の多くの主催者、スポンサーもJLPGAにアレルギー反応を起こしているが、アース製薬は小林会長の方針に理解を示した。すでに来年以降の開催にも前向きの姿勢であるという情報もある。 今回のインターネット中継は来年以降への布石ともいえるのだが、オンライン会見に参加した関係者によると小林会長は、「今回のインターネット中継はアース製薬様がつくってくださる。契約はウチではない」と詳細な説明を避けたといい、中継を担当する制作会社がどこになるのかなども答えなかったという。
広告代理店関係者によると、Jリーグ、プロ野球の放映権を多額の契約料で買って中継している「DAZN」など、スポーツのインターネット中継が大きなビジネス化しているのが世界の流れではあるが、日本のゴルフ界では、未知の領域。まだ大会主催者、スポンサーは地上波のテレビ中継とのセットで、スポンサー名の露出やブランディングアップに期待し大会に投資している現状があるという。 将来的にそのスポンサーの意向がインターネット中継にシフトしていく可能性も十分に考えられるが、待望の女子スター開幕戦にテレビ中継がないことには違和感が残る。 また今大会はゴルフ関連5団体が共同で作成した感染予防のガイドラインに基づきメディアの現地取材も禁止する方向でリモートでの代表取材になる。これについてはフジテレビ系「とくダネ!」でキャスターの小倉智昭が、「野外で安全な方ですし、今までメディアと一体になって隆盛を極めてきたわけですから、取材ぐらいさせるべきだと思うけどね。当然あるはずのテレビ中継はない。取材もダメ。それはちょっとおかしいんじゃないのかなと」と主張して反響を呼んだ。 メディア側は 取材禁止の緩和を求めているが、今のところ譲歩の動きはない。渋野のプレーは楽しみだが、テレビ局、スポンサーのJLPGA離れが進んでしまうという危険もはらんでいる。