元千代大海の九重親方「北の富士さんからそう言っていただきうれしかった」感謝と思い出語る
大相撲の元横綱北の富士勝昭さんの死去が明らかになり一夜明けた21日、孫弟子に当たる元大関千代大海の九重親方(48)が故人を悼んだ。九州場所が行われている福岡国際センターで取材対応し「びっくりしたのがまず本音」と、戸惑い気味に口にした。 【写真】亡くなった北の富士さんとの思い出を語る元大関千代大海の九重親方 北の富士さんは生前、名解説者としても人気を博した。テレビ画面越しに叱咤(しった)激励を受けた現役時代を振り返り「厳しく辛口で解説してくれたことは、身内としての愛情だと分かっていた」。現役を引退して親方になった後は、優しくエールをもらったという。「『次はしっかり頑張れ。俺から見ればお前は孫だから』と声をかけてくれた」と懐かしんだ。 2年前に国技館で交わした言葉が最後の記憶となった。「『解説がうまいな。独特な解説がすごく聞きやすい。声もいいぞ』と。北の富士さんから、そう言っていただいてうれしかった」と感慨を込めた。 名指導者でもあった北の富士さん。九重親方は「千代の富士さん、北勝海さんの2人の横綱など、数々の関取を育てられた。僕たちの憧れであり、こういうふうになりたいという憧れでもあった」と先々代をたたえた。 土俵を離れても憧れの存在だった。若かりし日の北の富士さんが写ったモノクロ写真には、着物の帯や胸元を着崩した姿があったという。「それが北の富士さんの粋。ビシッと着るのもいいけれど、遊び心のある着こなしもあるんだと。北の富士さんを見て、私も学んだところがある」と、しみじみとした口ぶりで話した。