「今、焦っても」からの逆襲 “カムバック”した山口すず夏の職場の行方
◇米国女子◇Qシリーズ・ファイナルクオリファイイング(最終予選会) 2日目(6日)◇マグノリアグローブGC(アラバマ州)◇クロッシングコース(6664yd、パー72)、フォールズコース(6643yd、パー71) 【画像】日本ではプロテストに合格した山口すず夏 ターゲットが遠のきかけたところで、踏みとどまる力が湧いた。クロッシングコースの折り返しまでに4ストローク落として通算6オーバー。山口すず夏は後退の一途をたどった9ホールと、今の立ち位置を思い返し冷静になった。「自分で『なんか結構、焦っているな』って感じる時があって。でも今、焦っても…と」 5日間の最終予選会は4日目終了時点で65位タイまでに入り、最終的に上位25位以内にいれば、来季米ツアーの出場資格を手にできる。なにせ今年は1次、2次と通過してきたことで、すでに山口には下部エプソンツアーの出場権がある。2019年以来、5年ぶり3回目の“最終”で、4日目まで回り切ればさらに上位のカテゴリーに入れる。「エプソンツアーはプレーできるわけだし、『自分に期待しすぎているのかな』と途中で気づいて」 2022年4月の「ロッテ選手権」を最後に米ツアー大会出場がなく、昨年は世界ランキングポイント付与対象の試合に出られなかった。今年になってオーストラリア女子ツアー、欧州女子ツアーで計6試合プレーしたが、3月末の「ニューサウスウェールズ女子オープン」を終えてからは、日本でローカル大会にいくつか出たくらい。夏場以降、日米ツアーの予選会と日本女子プロゴルフ協会のプロテストに専念したスケジュールを思えば、来年の姿は何倍も想像しやすい状況にある。
反撃は後半アウトですぐに始まった。奥から3mを沈めた2番(パー3)から3連続バーディ。「もうちょっとラクに、自分にプレッシャーをかけすぎないでやった方がイイんじゃないかなと思うようになってから、ちょっとずつ良くなってきました」 今年、師事した新しいメンタルコーチの助言で「崩しても盛り返せるようになった」実感がある。ラウンド中、普段よりも左を向いていたアドレスも修正。「父(キャディの裕之さん)がきのうから言っていて。『もうちょっと聞く耳を持った方がイイかな』と思って(笑)。やったらだいぶ良くなりました」。気持ちに余裕が出ると、素直にもなれるから不思議だ。
終盤7番のバーディの後、最終9番の3パットボギーが悔しいが、「73」で通算3オーバー。順位は前日の67位から59位に上がった。「ゴルフの内容が悪いわけでもない。きょうも3パットをしているので、さすがにそろそろ勉強したいんですけど…」と反省は忘れない。「攻めるところと守るところ、ちゃんとメリハリをつけてやっていきたい」。職場を決める戦いはまだ54ホールも残っている。(アラバマ州モービル/桂川洋一)