大分県に移り住んだ先輩に聞く(1) 移住でウェルビーイング「移住は自分に合った場所を見つける旅」
"地域おこし協力隊"として果たしていきたい役目
自治体と関係を築きながら、もっと様々な補助金などの勉強もしてみたいと考え、それには最適な環境だと考えたそうで…… 石黒:協力隊はコミュニティ型とミッション型があるのかと思います。コミュニティ型は地域の方とのコミュニケーションを主体とした活動。自分の方は企業誘致やスタートアップ支援を行うミッション型の取り組みです。他自治体ではあまり聞いたことがなかった動きなので、それも今回の移住の決め手になりました。企業のことも知ることができ、そこに使える補助金のことなども学べるいい機会になるはずだと。 "地域おこし協力隊"の任期は最長3年。その時間は貴重な体験になるはずと石黒さん。 石黒:行政の方々と一緒に動きながら、社会を学ぶチャンスがたくさんあると思うんです。3年後の自身のために自分を見つめ直すにはちょうどいい時間になるのではないかと。協力隊として活動した後、補助金などを活用して起業し、この地に暮らし続ける。協力隊はそんな移住のための一つの入り口にもなり得ていくと思います。
移住先での新たな一歩
元アスリートの仲間も増やしていきたいのだそう。 石黒:アスリートは社会経験がどうしても薄くなってしまうんです。ですから協力隊にもっとスポーツ選手を採用してもらいたいと考えています。自身のセカンドキャリアへの道として経験を積むということもありますが、同時に応援してもらった人間が、今度は応援する側になるんです。大分のチームに所属して、別チームに移籍したとしても今度は大分の町おこしのために帰ってきた……なんていいじゃないですか。元選手が町おこしで戻ってきたということで、その町がフォーカスされるだけでも十分町おこしの一つになっているし。すでに一人、大分で一緒にプレーしたチームメイトが協力隊に参加しています。彼は玖珠町のデジタル地域通貨発行に向け奮闘中なんですよ。 次のステップへ踏み出した石黒さん。その新たな思いとは……。 石黒:実は今年9月末で協力隊を辞任しました。次へのステップです。協力隊でメインの仕事としてやってきたのが企業誘致でしたが、その誘致した一つ、玖珠町のふるさと納税事業に参画する会社に転職しました。これまで行ってきた地域おこしを行う事業者と玖珠町を繋ぐ側から、事業者として玖珠町の地域おこしを行う側になります。転職先の代表とは当初、スポーツツーリズム的な事業のアドバイザーという立場での関係を考えていたのですが、それも合わせて玖珠町の魅力を全国へ知らしめていこうと。玖珠町は小学生のサッカーが強かったり、スポーツ施設が充実しているので、スポーツを通して玖珠町に人が集まるようになればという思いがあります。 協力隊として移住1年で転職。職場こそ変わることになるそうだが、玖珠町への想いがますます熱くなっているそうだ。 石黒:確かに所属する組織は変わりますが、仕事のベースとなる空間は変わらないんですよ。廃校になった中学校をサテライトオフィスに整備してあり、そこが私の"地域おこし協力隊" としての活動のベースなのですが、誘致した企業もオフィスをそこに置いているんです。現在7社が入っています。僕の転職先もあります。関わり方こそ違っていますが、玖珠町と繋がっていくことに違いはありません。