森発言に対し「わきまえない女でありたい」――稲田朋美議員に聞く、自民党という男社会
――夜の会食を通じて「男同士の絆」を確認したいという議員もいるかと思います。「おれとお前」という関係性を基盤に、事前の相談や根回しを進めることもあるでしょう。女性議員として疎外感をもったことはありますか。 稲田氏:それはしょっちゅうです。男性同士で「昨日はありがとう」「お世話になっている」「(この人は)兄貴みたいな存在だから」とか、そういう盛り上がりかたをすることは多い。そこに女性って入りにくいですよね。(男同士の)絆っていうのは……「違うな」「真似できないな」と感じます。
女性議員を増やす活動
女性議員を増やし政策に反映させようと、稲田氏は2019年に議員連盟「女性議員 飛躍の会」を発足させ、共同代表に就任した。会では、選挙候補者の3割を女性にすべきという提言もしている。 稲田氏:16年前、議員になりたての頃は、女性の割合を一定数に定めるクオータ制には反対でした。議員になったら男も女も関係ないと思ったからです。しかし、先ほど触れたように、16年間で女性議員の数が増えないことによる問題点も多く見てきました。だから考えを変えました。女性に寄り添った政策を作るために数を増やさなければならない。そのためのクオータ制なんです。最終的に有権者に選んでもらう必要があります。決して女性に「下駄を履かせる」ための施策ではありません。
わたしたちにも責任があった
稲田氏は議員連盟で積極的な活動をしているが、これまでも「男性優位」を変える機会はあったのではないか、という疑問もある。これについては「わたしたちにも責任はあった」と認めた。 稲田氏:女性議員飛躍の会の会合で、メンバーからこんな話が出たんです。森会長の発言があった会議で笑い声が起きたという報道がありますね。「もし、自分があの場にいたら笑ったかもしれない」というんです。本心は違っても、雰囲気に流されてしまったかもしれないと。 ――男性優位の自民党を認めてしまったところはありますか 稲田氏:男社会のなかで、うまく寄り添って生きていく。そういう選択をしたことも私自身ありました。責任はあったかなと思います。わたし自身、男性議員から「総理を目指すなら癒し系になった方がいいよ」と言われ、「何言っているのよ」とはっきり反論せず、「そうだね~」と言って終わらせてしまった経験があります。