森発言に対し「わきまえない女でありたい」――稲田朋美議員に聞く、自民党という男社会
――稲田さんは2017年、陸上自衛隊の南スーダンの日報隠蔽問題で防衛大臣を引責辞任されました。著書では「挫折があったからこそ気づいたことがあまりに多い。人間、あまりに順調だと、周りの人の痛みに鈍感になる」と書いています。この経験も今に繋がっていますか。 稲田氏:防衛大臣時代の経験は非常に大きいですよね。大きな失敗であり、私にとっては試練でした。ただ、あのときがあったから、少し外れてしまう人だったり、排除されたり、後ろ指を指されたりする人のことが「自分ごと」になったんです。 ――女性の声を大きく、増やしていくこと。この施策を進めるために、今後超党派の動きにつながることはあり得ますか。 稲田氏:衆院選が近づくなかで、小選挙区で戦うことになる他党の女性議員と活動できるかというと、ハードルは高いかもしれません。ただし、女性の声が政治に反映されない、そもそも女性議員が少ないという問題に与党も野党もないと思うんです。自民党は自民党で問題を抱えているけれど、野党がバラ色かといえばそんなことはありません。わたしは超党派で取り組んでよいと思います。 稲田朋美(いなだ・ともみ) 1959年2月20日生まれ。福井県出身。早稲田大学法学部卒業後、弁護士に。2005年の衆院選で自民党公認候補として立候補し、初当選(福井1区)。現在まで当選5回。第二次安倍政権で党政調会長、防衛大臣などを歴任。2019年、党内で議員連盟・女性議員飛躍の会を結成。共同代表に就任する。 森健(もり・けん) ジャーナリスト。1968年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、総合誌の専属記者などを経て独立。『「つなみ」の子どもたち』で2012年に第43回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『小倉昌男 祈りと経営』で2015年に第22回小学館ノンフィクション大賞、2017年に第48回大宅壮一ノンフィクション賞、ビジネス書大賞2017審査員特別賞受賞。