よく眠れる人にはどんな特徴が? 「睡眠の質が高まる」4つの習慣
これからの季節は、夏の寝苦しさから解放され、一年で最も眠りやすくなるシーズンです。この時期に眠り方を見直し、人生の質を高めていきましょう。月刊『PHP』2024年10月号では、睡眠コンサルタントの友野なおさんに「最高の睡眠」を取るためのポイントについて聞きました。(取材・文:加曽利智子 イラストレーション:はまぎしかなえ) 【解説】快適な睡眠環境の作り方 ※本稿は、月刊誌『PHP』2024年10月号より、一部編集・抜粋したものです。
睡眠不足が引き起こす4つの悪影響
寝つきが悪い、目覚めが悪い、夜中に目が覚める......。これらは、睡眠不足や睡眠の質が低下しているサイン。学術的な報告では、日本人の5人に1人が、睡眠に悩みを抱えているとされています。 60代以上になると、老化現象の一つで、まとまった睡眠を取ることが難しくなります。また、50代の女性は忙しすぎて世界で最も眠れていないといわれています。20代以下の若い世代でも、就寝前までスマートフォンを手放せずに眠れない人が増え、習いごとが忙しくて睡眠に問題を抱えている子供もいます。年代にかかわらず、何かしらの悩みを抱えている人が多いと言えるでしょう。 睡眠不足が続くと、大きく分けて次の4つの悪影響が出てきます。 ①体への悪影響=活動量が減り、生活習慣病のリスクが上がります。 ②心への悪影響=感情のコントロールが難しくなり、ストレスに対する抵抗力が下がります。イライラしたり、やる気が起きなくなったりも。 ③脳への悪影響=集中力、注意力、判断力、記憶力、コミュニケーションやクリエイティブ能力がダウン。認知症リスクも上がります。 ④行動への悪影響=遅刻や欠勤が増え、不登校や退職につながります。冷静な判断ができず、ケガやトラブルも。また、太りやすい行動をとるようになります。
ストレス解消は「レム睡眠」の間に
私がさまざまな方と接するなかでよく耳にするのが、「なかなか寝つけない」といった悩みです。さらに、「仕事のことが気になって、疲れているはずなのに眠れない」「寝る前にSNSを見たら内容が気になり、心がざわざわして3時間くらい眠れなかった」など、ストレスが関係しているものが多く見られます。 睡眠は、体は休んでいるが脳は動いている「レム睡眠」と体と脳の両方が休んでいる「ノンレム睡眠」の2種類から構成されています。 就寝直後にノンレム睡眠が訪れて、レム睡眠とノンレム睡眠が交互にくり返され、朝が近づくにつれてレム睡眠の時間が増えていくのが、質のよい睡眠です。 「レム睡眠」は眠りとしては浅いですが、記憶や感情の整理など、心の健康を保つうえで欠かすことのできない大事な睡眠。そのため、寝つけないことが多く、睡眠リズムが乱れると、心の安定を保つことが難しくなってしまいます。 レム睡眠をしっかり取るために、約7時間の睡眠を確保し、最低でも5時間を切らないようにしましょう。また、就寝中の環境や寝る前の行動、さらには昼間の過ごし方も大切です。具体的な方法を紹介しますので、実践してみてください。