無人駅に宿泊! そんな夢の体験ができる「駅泊」が今注目されているワケ
地域観光の新たな拠点
駅舎に泊まれるという特別な体験に、メディアに取り上げられてオープン前から予約が埋まっていった施設も見られる。そのため、他の地域でも無人駅を宿泊施設化しようとする計画が出てきている。 JR東日本スタートアップは全国で地方創生事業を手掛けるさとゆめ(東京都千代田区)と組んで「沿線まるごとホテル」というプロジェクトを立ち上げている。無人駅の駅舎などをホテルのフロントやロビーとして活用し、沿線集落の空き家をホテルの客室に改修し、さらには地域住民とともにホテル運営を行うことで、「沿線」を「まるごと」楽しめる「ホテル」のようなサービスを作り出すことを目指したプロジェクト。そのほかにもJR東日本スタートアップではさまざまな企業と組んで無人駅を活用しようとする動きが見られる。 現在、参入している企業は限定された地域でその地域の特色を生かした開発にするとしているが、今後は各地で取り組みが増加していく可能性があり、同質化していく懸念もある。当初は地元の人のアイデアで手作り感があったり、オリジナリティーがあったりしたが、そんな特別感は失われるかもしれない。 しかし、視点を変えれば無人駅が 「ホテルチェーン化」 するということで、それはそれで面白い試みなのかもしれない。周辺は自然豊かな立地だったり、景勝地への玄関口だったりして、地域観光の拠点として機能する可能性もある。 2024年の夏休みのレジャー先の近くにも駅泊できるところがあるかもしれない。興味のある方は探してみてはどうだろうか。
中村圭(商業・観光リサーチャー)