「みんななかよく」50歳になったハローキティが伝え続ける、現会長の「戦争反対」への強い思い
ハローキティが果たす役割と重責
ハローキティは世界に羽ばたいた、サンリオが、いや、日本が誇るキャラクターだが、キャラクターの人気投票イベント「サンリオキャラクター大賞」では、ここ数年、このレジェンドは3位にすら入っていない。キャラクター大賞に投票するコアなサンリオファンの今の推しは、シナモロールやポムポムプリンである。つまり、現在、ハローキティは「なんとなく好き」ぐらいのファンに支えられている。もちろん、チャールズ国王陛下が祝福してくれるぐらい、海外での知名度はダントツだから、海外での人気はまた別の話だ。 コアな日本のサンリオファンは、サンリオの企業理念をよく理解しているはずだ。一方で「なんとなく好き」レベルのファンや海外勢はどうだろうか? そうした間口を広げた先の「仲間」に向けて、ハローキティは「みんななかよく」精神を伝える媒介となっている。 私は海外に行くと、日本ではちょっと恥ずかしくて外で着られないハローキティがドーンとプリントされたTシャツを着用するが、何度も「わーお、ハローキティ!」と話しかけられた。ロンドン(ハローキティの故郷!)では同じくハローキティのTシャツを着ていた女性が、道端で突然、「ハローキティ!」と言いながら、ハイタッチしてくれた。みずほ銀行のハローキティ柄クレジットカードで支払えば、高確率で「あら、ハローキティのクレジットカード? クールね!」と笑顔で言われた。ハローキティがいなければ、そうした平和なやりとりは発生しない。残念ながら、みずほ銀行はハローキティカードの扱いを終了したが、ぜひとも復活してほしいものである。 こうしてハローキティが「みんななかよく」精神を伝える媒介としての重責を、そこかしこで果たしていると実感する瞬間を何度も経験すると「キティちゃん」というより「キティさん」と呼びたい気持ちになる。そんなキティさんの話をもう少しだけ、続けさせてほしいと思う。 #2【初日は転売ヤー殺到で「異様な雰囲気」に…「ハローキティ展」の展示内容に覚えた「物足りなさ」の正体】 #3【最近の「ハローキティ」に覚えた違和感…口が描かれていないのに「よく喋る」のはなぜなのか】 を読む。
中沢 明子(ライター)