ホンダの新型「GB350C」に乗った! 重厚さと上質感をプラスした、ピュア単気筒の最新版【試乗インプレ】
鼓動感がまろやかになった単気筒エンジン
エンジンを始動すると、聞こえてくる単気筒サウンドはGB350よりもまろやか。GB350は“トトトッ”という排気音に“パ”とか“バ”が混ざる感じで、ハスキーながらやや破裂音寄り。GB350Cはというと、同じく“トトトッ”という音がベースながら“シュ”とか“ス”が混ざる感じで、排気音を聞かせるというよりもメカ全体から穏やかに調和した音が伝わってくるかのようだ。 印象としては少し静かになったわけだが、実際の音量そのものはあまり変わっていないようで、トンネルなど反響音が返ってくる場所を走ると単気筒らしいサウンドがしっかりと響く。変わっているのは音質と、サイレンサー出口の位置と向きがライダーから遠くなったことによって耳元に聞こえてくる音量に変化があるのだろう。 走り出すと、トルク特性はGB350と大きく変わらない感じだが、このまろやかなサウンドの印象通りというか、より低回転の粘りが増したように思えた。ただ直接比較できてはいないので、もしかしたら音の印象や、それに引っ張られて操作がやや穏やかになっているなどの影響もあるのかもしれない。 改めて、サウンドを含めたエンジンフィーリングはバイクの乗り味に大きく影響するのだなと思えた。 ただ、まろやかになったとはいえ、ひとつしかないピストンが上下しながら『吸って、燃やして、吐く』という、吸気~圧縮~爆発~排気の行程をアクセルひとつで操る感覚は相変わらず明瞭。GB350で示したピュアな単気筒フィーリングは健在だ。 ──ボア径φ70mm×ストローク長90.5mmの超ロングストローク単気筒エンジン。バランサーを効果的に用いることで余分な振動を抑制しつつ、爆発(正しくは燃焼)の鼓動感を際立たせている。
とても軽いクラッチレバーを握り、シーソー式のチェンジペダルを踏み込んで1速に落とし、粘る低回転を使って難なく発進。交通の流れに乗れればいいというレベルの加速なら、矢継ぎ早にシフトアップしていっても問題ない。 交通の流れをリードすべく低めのギヤで回転数を上げていっても、エンジンフィーリングは大きく変わることなく、穏やかな排気音と鼓動感を伴いながらフラットに加速する。回転が頭打ちになるあたりまでいっても排気音はただの連続音にはならず、鼓動感を失うことはない。 20ps/5500rpmという動力性能は、高速道路の120km/h区間をギリギリ問題なく走れる程度だが、ずっとスロットル全開でブン回していても低振動で疲れない点は特筆しておきたい。