音楽が人を癒す力は想像以上。自然に接する機会が少なければクラシックコンサートへ。音楽を聴きながらの散歩も効果的
◆自然界の中にはない和声(ハーモニー) 例えば他の感覚、色彩感などでは、壁が赤い部屋と青い部屋では体感温度が約3℃違うといいます。さらに赤い部屋にいると心拍数と体温が上昇し、青い部屋にいると心拍数と体温が低下するそうです。これは赤=火=熱い、青=水=冷たい、という我々が生きてきた中で自然の法則として体感したものからきています。味覚では子供が酸っぱいものや苦いものが苦手なのは腐ったもの、毒のあるものがそれぞれ酸っぱかったり、苦かったりするからと言われています。 視覚においては、ニョロっとした紐を蛇と勘違いしてびっくりして後退りしたりするのも、紐=蛇=危険、という認識ができているから、逃げるという行動に出ると言われています。因みに「蛇」に対しての恐怖感は後天的でなく先天的なものとも言われています。 これらの人の反応は全て「自然界」と人との関わりの中で生まれたものです。 しかし、音楽の明るい感じ、暗い感じを作り出す、和声(ハーモニー)は自然界の中にはないのです。それをどうして人は感じるのか…。実は、このわけも諸説ある様ですが、私が一番、確信に近いと思っているのは「声のトーン説」です。 暗い話をする時、例えば「昨日、財布を落としてしまって…」この様なことを話す時の声のトーンは暗くなりますよね。反面「宝くじの1等が当たって!」みたいな話をする時は声のトーンが明るくなります。 これも、なんとなく世界共通で、言葉の意味がわからなくても、声の調子で明るい話か暗い話かくらいはわかると思います。この声のトーンを音楽的に表現すると長調と短調になるという説です。 和声(ハーモニー)と人の感覚は面白いものがあって、かなり専門的になるので深い話は次回として「ディミニッシュ」というコード(和声)があります。これを聞くと「どうしてかな?」という不思議な感じを受けるのです。NHKの教育テレビなどで科学の実験のシーンで必ず使われていた和声です。 ともかく、我々、音楽を作る者は「音での感情表現」を仕事にしているのですが、その難しさと楽しさを痛感しているこの頃なのです。