猛暑には麻が涼しい。日本から長い間消えていた大麻の衣服を着てみたくて
『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。 【画像】ヘンプの生地で巻きスカートを作製
できる限り天然繊維のものを選ぶのは
衣服を作るために使われる素材は、大きく分けて天然繊維と化学繊維の2種類があります。 天然繊維は木綿、麻、絹、獣毛、皮革など、草木、あるいは動物の一部を利用して作られた繊維です。一方、化学繊維とは石油由来の繊維であり、ポリエステル、アクリル、ナイロンが代表的なものになります。 その他としては、ポリエステルコットンや、レーヨンシルクなど、天然繊維と化学繊維を混紡して作られた素材、レーヨンやリヨセルなど、木材パルプを溶剤で溶かした糸で作られた素材もあります。 これら素材を使って織地や編地が作られ、それぞれの特徴によって、サテンやポプリン、シャギーやツイードなどというように名付けられ、生地として販売されます。 私は化学繊維よりも天然素材のほうが好きです。年を取れば取るほどこの傾向は強まり、最近では、アウトドアウエアやスポーツウエアなど、化学繊維のほうが適しているウエアで以外については、できる限り天然繊維のものを選ぶようにしています。 理由は、着ていて心地がいいから。化学繊維だと肌がかゆくなったり、真夏は暑すぎたりするからです。
昔から好きなのは麻。中でもリネンが大好き
中でも昔から好きなのは麻です。麻とは植物に含まれる繊維の総称。実際、日本で麻と呼ばれる素材となる植物は一種類ではありません。 日本で主に衣服として使用される麻はラミー、リネン、ヘンプです。それぞれイラクサ科の苧麻、アマ科の亜麻、クワ科の大麻という名前の植物で、全く別物です。 日本で売られている素材でよく使われているのが、亜麻から作られたリネンです。フレンチリネン、ベルギーリネンなどが有名です。麻の中でも繊維が細く繊細な素材で、私もこのリネンが大好きです。
ラミーとヘンプの製品はそれほど多く売ってはいない
好きが高じて、私はこのリネンの種を庭にまいて、育ててみたことがあります。 園芸にはまっていた30代のころ、英国王立園芸協会の会員でした。会員になると、年に1回、カタログの中から好きな種30種類のプレゼントがありました。その中にリネンの種があったのです。 リネン好きとしては、これは植えてみなければということで注文。その他たくさんの未知の種と一緒にリネンの種がイギリスより送られてきました。 庭に種をまくこと数週間。ひょろひょろとひ弱な茎と、薄い緑色の小さな葉っぱが伸びてきて、その先端に咲いたのは、これまた消え入りそうな薄い水色の可憐な小花でした。これがリネンになるのね、と感動したのもつかの間、ひょろひょろのリネンはうまく育たず、一年草として、その年で枯れて終わってしまいました。 リネンも好きですが、その他の麻も気になります。けれどもラミーとヘンプの製品はそれほど多く売ってはいません。特に2000年より前は、ヘンプの服など見たことがありませんでした。 しかし麻を探していたある年、ラミーと記載されているインポートのサファリジャケットを発見したのです。早速買ったラミーのサファリジャケットは、適度な硬さと耐久性のある素材でできており、色、デザインともお気に入りの一着だったので、すり切れるまで着続けました。