建設業の「2024年問題」のその後、働き方改革は進展した?明らかになった新事実
建設業界全体にも働き方改革は広がるのか
今回の調査結果で、想像以上に残業の少ない求人や休日の多い求人の割合が高かったことは、建設業界において多くの企業が2024年問題に対応した働き方へシフトしていることを示していると考えられる。 特に、「残業なし・月平均20時間以内」の求人は建設業全体で40.4%を占めており、これは2024年問題で話題となっている年間720時間の時間外労働時間の上限から大幅に少ない。このことから、上限に近い基準で対応している企業を含めた平均値を算出しても、そこまで長い時間にはならない可能性がある。 ただし、今回の調査結果は当社のサービスに掲載された求人データに限られる。また、求人情報と実態が異なる企業まで考慮したものではない。建設業界内において2024年問題に対応できていない企業がまだ多く存在している可能性も否定できない。 また、当社のサービスがシニア専門の求人サイトであることから、建設業界全体で労働者への配慮や法令遵守が進んだ結果、シニア求人にも短い残業や多い休日の条件が波及した可能性がある。一方で、シニアを積極的に採用する企業であるがゆえに、特に労働者への配慮や法令遵守の意識が高い企業が多い可能性も考えられる。 現在、残業が短く休日が多い求人が増えていることは喜ばしいが、今後、建設業界内で取り残される企業がないか、あるいは企業の負担が過剰にならないかについては注視が必要である。
執筆:シニアジョブ 代表取締役 中島 康恵