建設業の「2024年問題」のその後、働き方改革は進展した?明らかになった新事実
意外と休日が多め、建設業界におけるシニアの働き方
4月の規制開始から半年以上が経過した今、建設業界は時間外労働時間の抑制に成功しているのだろうか。 こうした建設業界の2024年問題の対応状況を調べるため、私たちが提供するシニア専門求人サイト「シニアジョブ」に掲載されている建設業の求人の、休日や残業時間に関する項目を調査した。 結論を述べると、調査を行った2024年9月9日時点での建設業のシニア向け求人は、他業種の求人と比較して休日が多い傾向にあった。2024年3月以前の数値を計測していないため、これが2024年問題に対応して急速に改善されたものとは断言できないが、建設業界全体で対応が進んでいるといえる。 しかし残念ながら、「残業なし」あるいは「月平均20時間以内」の求人割合は、求人全体に比べると建設業の求人では低い。ただし、「残業なし」や残業が「月平均20時間以内」であれば時間外労働の上限よりも大幅に少ないため、大きな問題はないといえる。 具体的な数字を述べると、2024年9月9日時点でシニア専門求人サイト「シニアジョブ」に掲載された求人全体では「年間休日120日以上」が8.3%、「土日祝休み」が9.6%、「残業なし・月平均20時間以内」が74.8%であった。これに対し、「建築・土木・建設」のカテゴリーに絞った求人では、「年間休日120日以上」が20.2%、「土日祝休み」が29.9%と建設業での割合が圧倒的に高く、「残業なし・月平均20時間以内」は40.4%と低くはあるものの、40.4%であればさほど低いとはいえない。 では、詳しい職種別の動向を見てみよう。
建設業界におけるシニアの職種別求人傾向
建設業の中でも職種によって傾向が異なる。直接作業に従事する現場作業員や重機オペレーターの求人と、直接作業に従事しない建築施工管理や建築設計の求人では、違いがあるのだ。 現場作業員や重機オペーレーターの休日が多い求人の割合が低いが、残業が少なめの求人の割合は比較的高い。一方、建築施工管理や建築設計の求人では休日が多い求人の割合は高めだが、残業が少ない求人はそれほど割合が高くない。 具体的な数字を見ると、「土日祝休み」の求人は、現場作業員の求人では7.4%、重機オペレーターの求人では3.5%にすぎないが、建築施工管理の求人では32.5%、建築設計の求人では43%と、建設業の求人全体よりも高い割合を示している。 反対に「残業なし・月平均20時間以内」の求人を見ると、現場作業員の求人では43.3%、重機オペレーターの求人では48.8%と、直接作業に従事する職種では建設業の求人全体の割合を上回っている。建築施工管理の求人では39.5%、建築設計の求人では36.6%と低めである。 現場職種で残業が少ない求人が多く、技術職では休日が多い求人が多い背景には、余裕のある人員体制で残業時間を減らしやすい現場職種と、相対的に人数が限られ残業が増えがちな技術職という差があると考えられる。 また、施工管理技士が配置される主任技術者などの配置技術者は、必ずしも現場に常駐する必要がなく、休暇を取ることも可能である。そのため、現場での稼働が求められる現場作業員や重機オペレーターよりも、休日が多い求人が多くなると考えられる。