<安保法制>民主党・福山哲郎議員に聞く 戦争に巻き込まれる法案なのか?
「戦争法案」なのか
質問:安保法制について、「戦争法案」という呼び方、評価があります。戦争につながるようなものなのでしょうか。 福山:どういう戦争をイメージされているか。A国とB国が紛争状態のときに、日本が集団的自衛権を行使するということは、A国とB国の戦争に日本が参加をすることになります。そういう意味で言えば、戦争に参加する法案だと僕は思います。戦争に巻き込まれるのではありません。新3要件を満たせば、自分らの意思で戦争に参加をする法案なのです。 質問:イスラム国の人質事件がありました。安保法制を整備していく中で、あのようなことに巻き込まれるリスクは高まりますか? 福山:イスラム国自身は主権国家ではないので、戦争という枠組みでは語れません。しかし、イスラム国が活動しているイラクやシリアや中東の国々で紛争がおきた場合はどうか。そこに日本が参加することによって、少しクッションはあるけれども、テロ活動をしているISILやアルカイダ等との関係が生じないとは言い切れない。ゼロではない。
憲法改正をすれば良いのか
質問:仮に憲法改正して、説明を丁寧にしてから、安保関連法案の成立を目指すのであれば、評価できますか? 福山:一般的に憲法改正をするということになれば、もっと集団的自衛権の議論がクリアカットな議論になると思います。憲法改正の手続きをしたときにどうなるのかというのは、僕はそこは分からないです。しかし手続きとしてそれをやって国民が納得をして多数になれば、それは民主国家としては、それは正当な手続きの下で意思決定をされた政策だということになると思います。 しかし、今の法律の建て付けは、40年以上にも渡って、集団的自衛権の行使はできないと言っていたものに対して、無理に、限定的に行使できるような「新3要件」を作っているので、組み合わせに相当無理があるんですね。無理があるから説明しても分からないんですよ、国民に。 国会の審議では、「存立危機事態」と「武力攻撃事態」と「周辺事態」の関係を説明できていません。これまでの政府の説明では、「日本に武力攻撃がないけれども放置をすれば日本に武力攻撃が来るかもしれない事態」、「武力攻撃があるかもしれない切迫事態とか予測事態」、「実際に攻撃がありましたという事態」については、日本の対応を定めた法律の建て付けがしっかりしていたわけです。それに合わせて日米のガイドラインもきちっと対応していた。そこにいきなり、わが国に攻撃がないのに他国に攻撃があることに対して集団的自衛権を行使するという枠、存立危機事態という枠を作った。分かりにくくなっているわけですよ。 周辺事態というのは、今までは周辺という地理的概念は言わなかったけれども、現実には小渕総理の答弁でインド洋や中東に入らないと言ってきた。ところが今回は、重要影響事態というように周辺事態から名前を変えたおかげで、「重要影響事態はいったいどこまでなのか」となる。日本の周辺で例えば朝鮮半島で何かが起こったとき、放置すればわが国への武力攻撃が行われるかもしれないという周辺事態と、重要影響事態が一緒になっちゃったわけですね。