<安保法制>民主党・福山哲郎議員に聞く 戦争に巻き込まれる法案なのか?
民主党の考え方
質問:「自衛隊員のリスクは高まるかもしれないが、国民のリスクは下がる」という政権の説明もありました。安全保障環境が厳しくなっているとの認識が背景にあります。民主党としては、現在の安全保障環境をどう捉えているのか。 福山:民主党政権のときに、防衛大綱「2 2大綱」を作りました。北東アジアの安全保障環境について、北朝鮮の存在、核の脅威も含めて、大きな環境の変化があることを踏まえ、「動的防衛力構想」を提唱しました。南西諸島沖の日本の防衛をしっかりと固め、冷戦期の名残で対ロシアを想定して陸上自衛隊を北海道に厚めに置いていたのを、編成替えをすることを考えたのです。この現状認識は今も変わりませんし、安倍政権になってから作られた防衛大綱でも、現状認識はほとんど変わってはいません。そして、安全保障環境はより厳しくなっていることも認識しています。 しかし、わが国は法治国家ですから、立憲主義に反して野放図に憲法の解釈を変え、時の政権が何でもやってよいという国ではない。一定のルールのもとでやるべきです。その中で、わが国の周辺事態については、より米軍との協力関係で後方支援できることを広げていくと考えているのです。実は、日米ガイドラインを見直そうと言ったのは民主党政権なんですよ。 それから、国民の皆さんが一番不安なのは、尖閣周辺も含めた、日本の領域・領海がしっかり守れるかということです。この問題については、領域警備法というのを前国会からまとめていて、維新の皆さんとも協議をしながら、なんとかこの国会に領域警備法を出したい。領域警備という中で、一義的には海上保安庁の増強で、海上保安庁が警察権として全面に出る。万が一のときに備えて、自衛隊との接続をきちっとできるような状況を作るというものです。今まで法律的に穴の開いていた、いわゆるグレーゾーン事態に対する、この領域警備法を国会に提出していきたい。 ですから、民主党の考え方は、日本の近くには現実的に対応し、遠くに関しては、抑制的にする。例えば、今までシリアで起こっている事態、ウクライナで起こっている事態だとか、いろんな事態があり、それぞれの対応が違う。例えば、イラクやアフガンのような状況で後方支援をする場合は、特別な法律を別に作るのです。 さらに、国際協力でいえば、保健衛生やインフラ整備、警察の分野で、日本の国際協力は本当にすごく評価が高い。PKOを含めた人道支援は積極的にやっていくことで、安全保障環境の変化について対応していく。