<安保法制>民主党・福山哲郎議員に聞く 戦争に巻き込まれる法案なのか?
国会の議論、展望は?
質問:国会の議論、展望は? 福山:私も官邸にいて、官房副長官として総理の演説について推敲を重ねた立場として言えば、アメリカ議会での安倍総理の演説は、トータルで見れば日本の総理として、一定の責任のある演説をされたと思います。演説の100パーセントを批判をする気はありません。アメリカの上下院での初めての日本の総理の演説だから思い切ったことを言いたいと、ある種の高揚感がありました。 しかし、法律も出してない段階で、夏までに必ず安保関連法案の成立を実現しますと言われちゃうと、総理は政府の人間で、われわれは立法府の人間ですから、じゃあ僕らの審議は要らないのか、ということになります。実現のために努力をしますとか言えば済む話です。当たり前のことに対する配慮が無く、法案審議にはマイナスだったと思いますよ。立法府をばかにしていることですから。 一方的に記者会見などをしていた総理や大臣が、国会で1つ1つ、法案の中身について議論する中で、矛盾した答弁やおかしな答弁がでたり、総理自らがヤジを飛ばしたり、総理の答弁と大臣の答弁が食い違っていたりと、非常に問題はあると思いますが、法律の中身を議論するためには、そうしたことが浮き彫りになるのはすごく重要なことなんです。 だから最初はかみ合わなくていいんです。問題はかみ合わない状況の中で、無理やり、力や数で押さえつけて納得させるのではなくて、政府の責任として丁寧に説明する。そこで国民の理解が深まるのか、余計に分かりにくくなるのか。国会の審議というのは煮詰まっていきます。この収録が、まだ審議の3日目(5月29日)ですし、過去のPKO国会にしても、3回ぐらいの国会はまたいでいるわけですよ。1回の国会で無理やり強行に進めることはないと思います。 私は政権を担わせていただいたときに、当時の自民党の先輩議員から何度も言われた言葉があるんですね。国会の審議が混乱をするのは、全て政府・与党の責任だと思いなさい。野党の責任ではない、と。それが日本の憲政の常道です、と。政府・与党の一員として、いろいろ悔しいこともあるだろうが、野党が言ってることにいかに耳を傾けるかが、政府・与党の裁量であり責任だと。僕は何度も自民党の先輩議員から、アドバイスとご指導をいただきました。今、そのままその言葉を安倍政権にお渡ししたいと思います。 我々は野党ですが、国民の皆さんの付託を受けて国会に立っています。我々にヤジをするとか、我々の答弁に対して文句を付けるとか、いい加減に答えるとか、分かりにくく答えるというのは、国民に対して不誠実な態度だということです。これから審議がどのぐらい深まっていくか、国民の皆さんにしっかりと注視をしていただきたいと思います。 <了>