<安保法制>民主党・福山哲郎議員に聞く 戦争に巻き込まれる法案なのか?
抑止力をどう考えるか
質問:米軍への協力を緊密にすることで抑止力が高まるという説明がされています。 福山:抑止力が高まるという議論は、僕は一定の理解はします。しかし、武力行使の3要件では、国民の生命維持および幸福追求の権利が根底から崩される状況ではない限り、集団的自衛権の行使はできない、とされている。こうした限定的な行使で、どのように抑止力に結びつくのか、わからない。定性的にも定量的にも、抑止力が高まるという説明は全然ない。 抑止力は高まるのかもしれないが、逆に言えば、(集団的自衛権を行使する相手に対しては)、完全に敵対関係ができるわけです。この状況で抑止力がどう働くのか、そして、地球の裏側まで地理的概念なく後方支援をすることによって、テロへの対応も含めて、抑止力とは別のリスクが高まるかもしれないのです。だから抑止力とリスクの比較考量の中で議論しないといけない。国民に対して「リスクは高まらないぞ、抑止力は高まるぞ」と言って、全てがうまくいくような説明をするのは、少し無理のある議論かなと思います。
民主党と沖縄基地問題
質問:抑止力という話では、沖縄へ基地を置く理由としても、抑止力があげられます。 福山:民主党政権のときに、なんとか普天間を県外に持っていきたいという思いがあって、結局それが実現できず、辺野古へということになり、沖縄の皆さんに本当にご迷惑をお掛けしたと思います。ただ、沖縄の皆さんの長年のご苦労から考えて、なんとか実現したいという想いが当時の民主党政権の中にあったことは間違いないのです。 しかし、北東アジアの安全保障環境の変化の中で、辺野古以外に普天間を移設する場所があるかと言うと、残念ながらありません。しかし、沖縄の皆さんの今までの長年の苦労をどう理解をして、進めるのか。民主党政権で、他の基地の返還や、地位協定の若干の修正を初めて勝ち取ったこともありました。今の安倍政権のやり方は、どちらかと言うと問答無用で、とにかくやるんだという状況で、沖縄の皆さんの理解をなかなか得にくいやり方ではないか。もう少し丁寧にやるべきではないか。この問題は本当に沖縄の皆さんにご負担をおかけして、なかなか選択肢のない、難しい問題だなと考えています。 質問:民主党だったら具体的にどんな選択肢がありますか? 福山:いや、いったんチャレンジをしましたが実現できず、沖縄の皆さんにある種の期待感を持っていただきながら結局、辺野古へということで結論づけたので、今のところ代替案はありません。しかし沖縄の皆さんに丁寧に、負担の軽減を早くするよう努力はしました。安倍政権のやり方では沖縄の皆さんの、なかなか理解を得にくいのではないかなと思います。