<安保法制>民主党・福山哲郎議員に聞く 戦争に巻き込まれる法案なのか?
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安全保障関連法案の審議が続いている。集団的自衛権はどんな場合に行使ができるのか、他国軍を支援する重要影響事態とは何なのか。集団的自衛権の行使は限定的と説明する政府に対し、野党は、武力行使の新3要件の定義の曖昧さや政府の裁量の大きさを指摘する。最大野党の民主党は、安保法制の問題点をどう捉えているのか。民主党・幹事長代理の福山哲郎・参議院議員に聞いた。(なお、インタビュー動画は、ページ内の動画プレイヤーからご覧いただけます)
戦後70年の日本の安全保障の根幹を揺るがす
質問:安保関連法案、印象は? 福山:戦後70年の日本の安全保障の根幹を揺るがす変化をもたらす法案の審議になります。政府与党は会期の延長含みで考えているにせよ、国会審議が6月の下旬に終わるのに、始まったのは5月の中旬。ひと月で何をやるんだ、と。それも、10本ひとくくりにして、国会で審議をしてください、と。乱暴な始まり方だと思います。 それに、法案の内容が国民の皆さんに伝わりにくい。重要影響事態、周辺事態、存立危機事態、武力攻撃事態……。政府のメンバーも非常に混乱をしながら説明をしている。 法案は、安全保障法制的にとても大切な、歴史的なもので、国民の生活に深く関わる。反対でも賛成でも、与野党の立場に関係なく、国民の皆さんに分かりやすくお伝えをして、理解が深まるように政治は努力をしていかなければいけない。
「戦争に巻き込まれることはない」のか
質問:集団的自衛権の行使容認、どう評価しますか? 福山:日本は主権国家ですから、憲法9条があっても国民の命と平和を守らなければいけない。もともと個別的自衛権は行使できる。日本が攻撃をされて、国民の生活が本当に危うくなったときには、均衡原則といって、同じレベルで武力行使で対応していい。そのために日本は自衛隊を持っている、というのが、戦後、自民党政権が長い間作ってきた安全保障のルールの根幹ですね。これがいわゆる専守防衛という考え方。 そして、集団的自衛権については、「権利としては持ってるけれども行使はできません」、という考え方でした。集団的自衛権とは何か。A国と日本の同盟国B国が戦争状態にある場合を考えます。日本に対しては、A国からの攻撃はありません。同盟国であるB国に攻撃がなされている。このときにB国からの要請に基づいて、日本はA国に対して武力行使できます、ということです。安倍政権がよく言われてる例示では、臨検、機雷の掃海、米艦防護だとかをやりますと。これは、国際法上は武力行使にあたりますので、A国から見れば日本も武力行使をしてきたと見えます。A国から日本への攻撃がないのに、同盟国B国との間で集団的自衛権を行使するのです。 これは、個別的自衛権とはまったく異なる話です。安倍総理はよく、「戦争に巻き込まれることはない」と言われますが、巻き込まれるとか巻き込まれないではなくて、相手からの要請に応じて、集団的自衛権の行使をして、紛争に対して参加をする、ということです。昭和47年の政府見解より、「権利としては持ってるけれども行使はできません」と言ってきたのに、「行使できる」と変えようとしている。大きな歴史的な変化でしょう。それを憲法の解釈の変更ということでやっていいのですか。立憲主義に反します。