1年で最も面白い『四季報 秋号』から達人たちが発掘した「ガチ伸び企業10選」
ウーマン 私はビジネス目線で、企業の社内SNSサービス「TUNAG」を開発・販売しているスタメンが面白いと思いました。 山本 スタメン?......ああ、成長中のベンチャーで、時価総額がまだ70億円だから、私の網にはかかっていなかったですね。 ウーマン 写経したときに、「社内SNSなんて必要? なんでこれが18億円も売れてるの?」と思ったんです。それで調べていくと、飲食や物流系の企業でかなり使われていることがわかりました。 人手不足が続く中、アルバイトの採用ってすごくコストがかかるんですよね。で、社員同士のコミュニケーションが促進されるようなツールを入れると、スタッフ離職率が下がるみたいで。 人員の補充・教育コストに比べたら、社内SNSに毎月10万~20万払うのは割のいい投資なんですよね。最初はよくわからないものでも、思わぬ価値があるんだって知ることができるのが写経の面白さなんです。 ■「カラオケの鉄人」が今や美容の会社へ!? 山本 投資目線で言うと、大事なのは「変化の兆し」を見つけること。首都圏でカラオケチェーンと外食チェーンを運営している鉄人化ホールディングスが、ここにきて美容部門の売り上げを伸ばしています。ネイルやまつエクのサロン展開で、利益率が高く設備にあまりお金がかからないので、積極拡大にかじを切っています。 この先ひょっとすると、カラオケから美容の会社に変わるんじゃないの?という変化の種こそが投資のチャンス。男性の美容が盛り上がってきているのと併せて、最近の日傘ブームのようにひとたび火がつけば、株価が爆発する展開もあるでしょう。 ウーマン 変化といえば、名刺管理ソフトで伸びてきたSansanが印象に残っています。名刺をカメラで読み取る画像認識技術を活用して、オンラインで請求書を受領する業務用サービス「Bill One」に展開し、新しい成長商品を生み出しました。こんなふうに、既存の技術を横展開する事例はいろんな分野で参考にできると思います。 山本 お若いのに鋭いですね。四季報の記者としてスカウトしたいくらいです(笑)。 ウーマン おホメのお言葉をありがとうございます! 私は四季報写経のおかげで人生が変わりました。四季報と一緒に成長していきたいと思いますので、今後とも充実の誌面をよろしくお願いします! ●山本隆行(やまもと・たかゆき)1959年生まれ。早稲田大学法学部卒業。『会社四季報』編集長などを歴任。現在は東洋経済新報社を退職しているが、今も四季報の編集に携わっている。著書に『伝説の編集長が教える 会社四季報はココだけ見て得する株だけ買えばいい』(東洋経済新報社)。11月末に同書の改訂版が発売となる ●四季報写経(しきほうしゃきょう)ウーマン株式会社四季報写経代表。山川隆義の著書『瞬考』(かんき出版)に触発され、2024年3月から四季報写経を開始。現在まで2000社の写経を達成し、その過程をXやnoteなどで発信しているほか、イベントの開催や研修の実施など、日々四季報写経の布教に奮闘している 取材・文/日野秀規 撮影/榊 智朗