「伝播性・病毒性・ワクチンへの効果」懸念される変異ウイルスのポイント3つ
最近よくニュースで目にする「VOC」「VOI」ってなに?
WHOは変異体を「懸念される変異体 (VOC:Variants of Concern)」と「注目すべき変異体(VOI:Variants of Interest)」に分類しています。 「懸念される変異体(VOC)」とは、以下のうちいずれかとの関連が実証された変異体のことです。 1)感染・伝播性の増加 2)病毒性の増大 3)ワクチンや治療薬の有効性の低下 デルタは、この三つ全てに当てはまる可能性が高く、「懸念される変異体(VOC)」に分類されています。 もう一つの分類項である「注目すべき変異体(VOI)」は、クラスターを引き起こすことが確認されている、または複数の国で検出されているもので、「懸念される変異体(VOC)」に当てはまると実証されている段階にはない変異体です。ここ最近、新たな変異体の話がいくつか出てきていますが、どれも現時点では「注目すべき変異体(VOI)」に分類されているものです。
その他の変異体にはどんなものがあるの?
まずは、南米を中心に広がった「ラムダ」。これはアメリカでもすでに1,000例以上が確認されているもので、ペルーやチリではかなりの割合を占めていました。それが日本にもやってきたということで、かなり注目されています。 しかし、伝播性・病毒性の上昇については、デルタのそれより酷くない可能性が高いです。ワクチンに関しても、試験管内での実験などからはデルタよりは効果があるであろうと考えられるため、それほど心配しすぎる必要はないでしょう。 次に、同じく南米で確認された「ミュー」。これについては、伝播性の上昇や病毒性の上昇について、まだ詳細は不明です。しかし、「ベータ」と呼ばれている南アフリカで見つかったものに近い変異が入っており、ワクチンの効きが悪くなる可能性があります。試験管内の検討ではワクチンによってできる中和抗体の効きが悪くなることも示されています。今後しっかり研究して検討する必要がありますが、現状としては日本で広がっているというわけではありませんので、しっかり監視しつつ、従来の予防策をしっかりとって抑えていくことが何より重要です。 そして、北米やヨーロッパなどで確認された「イータ」。まだ情報は十分にありませんが、今後の監視は他の変異体同様に必要です。