「伝播性・病毒性・ワクチンへの効果」懸念される変異ウイルスのポイント3つ
現在国内で急速に感染拡大している変異ウイルス「デルタ」の三つの特徴とは。そして「懸念される変異体」と「注目すべき変異体」の違いは? 今知っておきたい変異ウイルスの基本知識について、新型コロナウイルスに関する正確な情報を届けるプロジェクト「こびナビ」の副代表である峰宗太郎医師にお話を伺いました。峰医師は今こそ感染対策は「基本に戻る」ことが大事と訴えます。
現在感染拡大中の変異ウイルス「デルタ」とは?
変異とは、生物やウイルスの遺伝子情報が変化することをさします。ウイルスは、増殖するなかで変異を繰り返しています。変異したウイルスを「変異体(変異ウイルス)」と呼びます。それらの変異体のうち、大きく性質が変化したコロナウイルスについて、特に注意・警戒して研究などが行われています。 いま世界や日本で最も問題になっているものが、「デルタ」(delta variant)と呼ばれる種類の変異体です。これははじめにインドで確認されたもので、インドからイギリス、アメリカ、日本など、多くの国に広がってきたウイルスです。 デルタには三つの特徴があります。 一つ目は、伝播性が上昇していること。人から人へとうつりやすくなったということです。従来株である武漢から生じた元々の先祖となるウイルスに比べると、人から人へのうつりやすさは約2倍程度に上昇しているものと考えられています。そのためデルタは非常に広がりやすく、ウイルスが流行している東京など、地域によってはもう9割近くがデルタに置き換わっているという状況です。 二つ目は、病毒性が上昇している可能性があること。つまり、より多くの人が重症化しやすく、死者も増えやすくなっている可能性があるということです。 三つめは、ワクチンの効果がやや下がってしまうということです。例えばファイザー製のメッセンジャーRNAワクチンの場合。従来株に対してであれば約95%の発症予防効果がありましたが、デルタに対しての発症予防効果は約88%程度にまで下がってしまうことがわかっています。しかし、当然ながらワクチンの効果が0になるということはありません。ワクチンをしっかりと接種していただくことが、デルタ対策としても重要であることは間違いないです。