『Pokémon GO』の先へ! XR × 街で変わる未来:MUTEK.JP Pro Conference 2024レポート
街を3D化して新たなXR・AR体験を産む
また、Scaniverseは、2023年から導入された「スプラット」という3Dモデルを構築する機能により、光るものや透明なものまで精密に3D化できるようになりましたが、白石氏は将来的なScaniverseと生成AIとの連携も示唆しました。 たとえば、プロンプトを入力して、夏に撮影した画像を冬に撮影した雰囲気に変更できるなど、スキャンデータと生成AIの相性は良い。そのようなデータの蓄積によりAIも成長していく。また、ユーザーにとって使いやすさだけでなく使う方法もどんどん増えていく。(白石氏) 街並みの3D化に関しては、ユーザーの中には自分の好きな町並みを一筆書きのように撮影し、そのデータをメタバースプラットフォーム「cluster」やゲーム「Fortnite」に取り込んでキャラクターを歩かせるといった活用例も出てきているということです。Nianticは継続的にアルゴリズムを改善し、3Dスキャンの精度向上に努めています。これにより2023年に撮影した同じデータを2024年の新しいモデルで処理すると、背景や水の質感などがより精密に再現できるようになっています。 このような技術的基盤をもとに、Nianticは新たに新宿区の都立明治公園とパートナーシップを締結し、高度なAR技術を活用した没入感のあるAR体験「Niantic Park」を提供するという取り組みを行っています。その取り組みについて、白石氏は「既存のゲームタイトルを公園で遊べるようにするだけでなく、公園全体をScaniverseで撮影し、XR・ARを楽しむための場として整備していく」と説明しました。 また、Scaniverseと同じ技術を用いて、より広域な範囲をスキャンするデバイスも開発されており、そちらを使って実際に公園全体をスキャン・3D化して、XR・ARで使えるようにするという試みも行なわれています。特筆すべきは、スキャンデータとVPS技術(画像データから位置を特定するシステム)の組み合わせにより、センチメートル単位でバーチャルオブジェクトを実際の街中に紐づけられる点です。白石氏によると、従来の緯度・経度による管理では5-10mの誤差が当たり前でした。しかし、この技術によって極めて正確な位置合わせが可能になり、ビルの階数や高さなど、さまざまな情報を正確に付与することが可能になったそうです。