ミスチルの推し活仲間3人が起業「そんなしんどいなら辞めちゃえば」のひと言で看護師から経営者へ「事業所名はミスチルの名曲から」
── 利用者の方と向き合うときに、心がけていることはなんでしょう? 中野さん:看護師が患者さんを見ているのは、せいぜい30分くらいです。なので、私たちが知っているのは、その方のごく一部だということを認識し、わかった気にならないということを常に頭に置いています。一番近くで見ているご家族やヘルパーさん、ドクターとの連携を取りながら、本人の意向を聞いて、何をすべきかを常に考えるようにしていますね。
■障害をもつ3人の子を支える母の涙 ── 精神疾患は、本人がつらいのはもちろん、支える側の負担も大きいです。共倒れにならないためには、支える側をサポートする仕組みも大事ですね。 中野さん:精神に障害を抱える方は、ご家族のフォローなしでは生活するのがなかなか難しいのですが、支える側が背負い込んでしまうと共倒れになってしまうことも。そうなると、本人も「家族を苦しめている」と罪悪感を抱えてしまいます。 ですから私たちは、支える側のサポートである「家族支援」をすごく大切に考えているんです。利用者さんのご自宅に伺うときには、ご家族の表情や家のなかの様子も意識して観察しています。いつもと様子が違うなと思えば、「お疲れの様子ですが、昨日は寝られましたか?よければ、お話聞きますよ」などと声をかけるようにしています。患者さんご本人の訪問時間の範囲内で、ご家族のケアをすることもありますし、医師からの指示書に「本人とご家族に支援が必要」と書かれていれば、訪問看護師が2人で伺い、それぞれのケアをします。
──「つらいけれどSOSを出せない」というケースも多そうです。 中野さん:そうなんですよね。障害のある3人のお子さんをワンオペで見ているお母さまがいたのですが、最初は気丈に振る舞っていたものの、何度かお話しするなかで、「もう、しんどい…。どうしたらいいかわからない」と号泣されて…。「自分が頑張って支えないと」と思い込んで救いの手を求めることができなかったり、「いったん気持ちを緩めてしまったら頑張れなくなる気がする」と歯を食いしばって耐えてしまう方も。ですが、支える側の心が健やかでないと、お互いにとって悲しい結果になってしまいます。頼れるところはどんどん頼って、自分の心も大切にしてほしいです。