【毎日書評】「気くばり上手」な人が相手と会う前にやっている準備
『「気くばり」こそ最強の生存戦略である』(西村僚子 著、SBクリエイティブ)の著者はセミナーや講座を通じ、周囲に気を遣いすぎ疲弊している多くの人を見てきたのだそうです。ご自身も「気くばりをしすぎではないのか」と心配されることがあるようですが、それでも気くばりで疲れを感じたことは一切ないのだとか。 それは、「みんなに好かれるために気くばりをしていない」からだといいます。 たしかに気遣いで疲れてしまう人は、「誰からも好かれるために気を遣わなくては」と神経質になったり、他人の期待に応えようとするあまり自分を犠牲にしたり、他人の目を気にしすぎたり、なにかと無理をしているのではないでしょうか。 一方、著者の考える「気くばり」とはMy Pleasure(喜んで)。無理をして気を遣うのではなく、相手を思う気持ちをことばや行動にしているだけだから疲れないということなのでしょう。 「気くばり」は疲れるものだと思っているあなたは、まず好きな人に「気くばり」することから始めてみませんか。きっと「気くばり」が楽しくなり、気を遣いすぎて疲れることはなくなるでしょう。(「Prologue」より) つまり深刻に考えるのではなく、“できること”から始めてみればいいということなのかもしれません。 また、気くばりをして喜んでもらえるようになるには、人間として一段も二段もレベルアップしなくてはいけないわけではないとも著者は述べています。いまの自分のまま、ただ気くばりに必要なマインドセットとノウハウを身につけていくだけでいいというのです。 そんな考え方に基づく本書のChapter 02「気くばりの基本」のなかから、基本的なポイントを抜き出してみたいと思います。
「相手に興味をもつこと」が気くばりの出発点
相手がどんな人物で、どんなことを喜ぶのか、あるいは好まないのか。 こうしたことがわからなければ、的を射た気くばりができず、喜んでほしい相手に喜んでもらうこともできません。 つまり、気くばりをするためには、相手をよく観察する必要がある。言い換えれば、相手に興味をもつことが、気くばりの出発点というわけです。(61ページより) 相手に興味をもつと、相手の日ごろの言動に対して敏感になり、相手がどんなことを喜ぶのかがわかってくるもの。それが、本当にその相手のことを思った気くばりにつながるわけです。 でも、「そうはいっても、なにから始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません。そんなときには、「兄弟はいるのかな?」「出身地はどこかな?」「ファッションセンスが素敵だな」「姿勢がよくて言葉づかいもていねいだから、接客業をしている人かな?」など、ゲーム感覚で妄想を膨らませていくとよいそうです。 その結果、自分との共通点を見つけ出せたとしたら、「出身は関西ですか? 実は私も関西人なんです」というように、会話のキャッチボールを始めることができるわけです。人は自分と共通点が多い人には親近感を抱きやすいので(類似性の法則)、これは意外と重要なポイントかもしれません。(61ページより)