「病院のハシゴ」は意味がない? 慢性的な疼痛が消えない理由と効果的なトレーニングは? 「脳が痛みを作ってしまう」
50歳を過ぎたらガタがくるのは「当たり前」
肩の調子が悪い人は40代から増え始め、80代になると3人に1人は何らかの腰痛を抱えています。膝に関して言うと、女性の場合、80歳で8割の方が痛みを感じています。ちなみに、老眼も筋力の低下も40歳を過ぎた頃から顕在化していきますよね。これらのことから、かつて「人生50年」と言われたように、私たちの体は本来50歳くらいで「終わる」ようにできているとも考えられるのです。 従って、50歳を過ぎたら、肩や膝など、体のどこかにガタがくるのは「当たり前」と考えればいいのです。自分だけが苦しめられているのではない、痛みにこだわるのはやめよう、いったん棚上げしよう、と。 そう言われても、どうしても痛みが気になってしまう。そうした方には、「じっとしないこと」を心がけるよう勧めています。つまり、忙しくするのです。 失恋した時、やることもなくじっとしていれば元恋人のことばかり考えてしまう。それと同じで、痛いからといって安静にしていると、痛みばかりが気になり、それに固執して負のループが始まってしまいます。
痛みを気にして動かないと、筋肉が固まる
だから、とにかく忙しくする。すなわち、体を動かす。このメリットはさまざまに挙げられます。 痛みを気にし過ぎて家などに閉じこもり、動かないでいると、筋肉の「拘縮(こうしゅく)」が始まります。じっとしているため、筋肉が固まってしまうのです。すると、より体を動かしにくくなり、動くのがおっくうになって、やはり負のループにつながってしまいます。 運動することで、まずは筋肉の拘縮を防ぎ、加えて、意識が「痛み」から「体を動かすこと」へとシフトし、痛みへの執着が改善される。さらに、運動すると筋肉がつくため、もともとの患部をサポートする効果も期待できます。 動ける体にすることが慢性疼痛の改善に向けた第一歩なわけですが、そのために筋力をつけ、心肺機能を高めるには、1日約20分の有酸素運動と、筋トレを習慣化するのがお勧めです。 まず有酸素運動としては、中強度の運動が適当で、ウォーキングであれば、少し息が上がって何とか会話ができるというくらいのスピードで歩くことが中強度に相当します。