じつは、ネットの配線は苦手…「衝撃的な高音質」を遂げたネットオーディオ。そのハードルを劇的に下げる「ネット部分のつなぎ方」
基本がわかる人も「注意したいこと」
図を見て全体像と個々の機器の役割がすべて理解できる人は、軽く目を通す程度で大丈夫だと思いますが、一つだけ以下の点に注意してください。 一部の機材(特にWi-Fiルーター)に古い製品を使っている場合、ネットワークへの接続が不安定になることがあるので、できれば4~5年程度の周期で新しい製品に交換することをお薦めします。オーディオ機器に比べると安価に購入できるので、同じ製品をかなり長期間使っているという人は一度見直すとよいでしょう。 続いて、機器の役割と選び方のうち、今回は「ハブ」について紹介していきます。
オーディオ専用設計のハブについて
ネットオーディオ草創期には、NASやハブはパソコン用の周辺機器を使うのが一般的でした。その後ネットワーク再生の音質改善を追求するなかで、これらの機器が及ぼす音への影響を無視できないことが明らかになり、ノイズ対策や電源回路の強化などの、改善策を導入したオーディオ専用設計のNASやハブが開発されるようになりました。 オーディオ用NASについては次回の記事で詳しく紹介することにして、ここではオーディオ専用設計のハブに焦点を合わせて、実際の効果を探ってみることにします。 ハブが家庭内ネットワークで信号を中継する重要な役割を担っていることはすでに紹介した通りですが、もう一つの大切な役割として、ネットワークにつながった機器間のノイズの伝搬を遮断する働きも期待できます。厳重なシールドなどハブ内部のノイズ対策に加え、グランド(電気回路の電圧の基準点)の絶縁機能や電気信号を光信号に変換してノイズを遮断するアイソレーター(分離器)としての機能を持たせた製品もあります。 家庭内には複数のWi-Fi対応機器が存在し、パソコンやスマホなどをノイズ源とする輻射ノイズも飛び交っています。これらのノイズがLANケーブルなどを介してネット ワークプレーヤーやNASに影響を及ぼし、音質が劣化することがあります。それを未然に防ぐのが、オーディオ専用ハブやアイソレーターの役割です。 アイソレーターの代表的なモデルとして、光絶縁を実現するエディスクリエーション(香港)のFiber Box2 JPEM、メルコ(日本)のオーディオブランドであるDELAのオーディオ専用ハブS100/2などがあります。 いずれもパソコン用の周辺機器に比べると高価な製品ですが、ネットオーディオ再生の音質改善効果は非常に大きく、納得させられます。いま聴いている音にいまひとつ納得がいかない場合は、導入する価値があると思います。 スイッチングハブにつなぐ代表的なネットオーディオ機器はネットワークプレーヤーですが、もう一つの主役としてNAS(ミュージックサーバー)を忘れるわけにはいきません。続いては、NASの導入メリットと、それぞれの機器をつなぐLANケーブルについて説明します。 * * * 従来のシステムから、オーディオ機器の接続にはRCAケーブルやキャノンケーブルなどが使われ、導体の素材やプラグ/ジャックの作りにこだわりを見せたさまざまな製品が登場しています。ネットーオーディオの時代になり、さらにLANケーブルなどもオーディオ用途のものが登場してきました。 続いては、オーディオにおける「LANケーブル」の役割と配線で気をつけるべき点、そして、データの保管庫「ミュージックサーバー:NAS」導入のメリットについての解説をお届けしましょう。 ネットオーディオのすすめ 高音質定額制配信を楽しもう CDをはるかに凌駕する音質で、話題になったネットオーディオ。初めてネットオーディオに挑戦するオーディオファン・音楽ファンを対象に機材の選び方から、煩わしいネットの設定まで具体的に分かりやすく解説します。
山之内 正(オーディオ評論家)