F1アブダビテスト:若手最速は体調不良のアントネッリ。サインツ、ヒュルケンベルグ、オコンが新チームで初走行
F1アブダビGP後の12月10日、ヤス・マリーナ・サーキットで全10チームが参加する合同テストが行われた。各チームが2台ずつマシンを走らせ、1台は2025年用タイヤテスト、もう1台は若手にF1走行の機会を与えるために使用された。 【写真】2024年F1アブダビテスト レッドブルRB20に乗り込む角田裕毅 2台のプログラムは全く異なっている。ルーキードライバー(F1参戦2戦以内)用のマシンには、アブダビGPで使用された2024年仕様のタイヤコンパウンド(C3ハード2セット、C4ミディアム4セット、C5ソフト2セット)が用いられた。 もう1台では、2025年に供給されるコンパウンド(C2=1セット、C3=3セット、C4=3セット、C5=2セット、C6=1セット)でテストが行われた。C6は2025年に追加される新しいウルトラソフトコンパウンドで、一部のストリートサーキットで使用されることが想定されている。 今回は、ピレリは標準プログラムを想定せず、2025年マシンの開発に不可欠なデータを収集するために各チームが適切と思われる方法でタイヤを走らせることが許可された。一方で、アブダビGPの週末に使用されなったコンポーネントをマシンに搭載することは、FIAが禁止している。 23人のドライバー中、最速タイムを記録したのは、フェラーリのシャルル・ルクレール。ルーキー勢のなかでは、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)がトップに立った。 2025年の移籍に向けて一足先に新チームで走ったのは、カルロス・サインツ(ウイリアムズ)、ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)、エステバン・オコン(ハース)。2025年のデビューが決まっているのはアントネッリとガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)だった。 ■フェラーリ:ルクレールが総合トップ。ルーキー枠からはアーサーとフォコが参加 フェラーリは、アブダビGPのFP1に続いて、シャルル&アーサー・ルクレールの兄弟を起用。さらにWEC世界耐久選手権にフェラーリから参戦するアントニオ・フォコもルーキー枠で走った。 ■シャルル・ルクレール(フェラーリ):タイヤテスト1番手(総合1番手)/1分23秒510(2025年C5タイヤ)/134周 ■アーサー・ルクレール(フェラーリ):ルーキー7番手(総合14番手)/1分24秒576(2024年C5タイヤ)/68周 ■アントニオ・フォコ(フェラーリ):ルーキー12番手(総合23番手)/1分25秒238(2024年C4タイヤ)/73周 ■ウイリアムズ:フェラーリから移籍のサインツがデビュー ウイリアムズと2025年からの契約を結んだカルロス・サインツが、この日、新チームでの初走行を行った。アブダビまでフェラーリで走っていたサインツは、早々に2025年の準備をスタート。なお、サインツとともにウイリアムズに加わったスポンサー、サンタンデールのロゴが、今回FW46に記されていた。ウイリアムズのルーキー枠では、アブダビGPのFP1に続いてルーク・ブラウニングが起用された。 ■カルロス・サインツ(ウイリアムズ):タイヤテスト2番手(総合2番手)/1分23秒635(2025年C5タイヤ)/146周 ■ルーク・ブラウニング(ウイリアムズ):ルーキー5番手(総合11番手)/1分24秒375(2024年C5タイヤ)/105周 ■メルセデス:アントネッリは体調不良で途中から参加 2025年にルイス・ハミルトンの後任としてメルセデスからF1にデビューすることが決まっているアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、FIA F2最終戦を体調不良により欠場、まだ万全の状態ではないため、今回のテストも後半から走り始めた。しかし62周を走るなかで、1分23秒873(2024年C5タイヤ)をマーク、ルーキー勢トップ(総合5番手)となった。 アントネッリは12月11~13日に鈴鹿サーキットで開催される全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)公式テスト/ルーキーテストに参加する予定だったが、こちらについては欠場を決めている。 アントネッリが登場する前のセッション前半には、フレデリック・ベスティが走行、11番手タイム(総合22番手タイム)を記録している。2025年用タイヤテスト担当は、レギュラードライバーのジョージ・ラッセルで、この日、総合3番手のタイムを出した。 ■ジョージ・ラッセル(メルセデス):タイヤテスト3番手(総合3番手)/1分23秒789(2025年C6タイヤ)/134周 ■アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス):ルーキー1番手(総合5番手)/1分23秒873(2024年C5タイヤ)/62周 ■フレデリック・ベスティ (メルセデス):ルーキー11番手(総合22番手)/1分25秒159(2024年C4タイヤ/55周 ■キック・ザウバー :2025年ラインアップのヒュルケンベルグ&ボルトレートが顔合わせ 2025年にドライバーラインアップを一新するキック・ザウバーは、新加入するふたりがテストに参加、初めてC44を走らせた。ハースから移籍するベテラン、ヒュルケンベルグは「有意義な一日で、ポジティブなスタートを切ることができた。ここから2025年にステップアップしていくのが楽しみだ」とコメント。F1デビューを控えたボルトレートは、マシンに慣れ、チームメンバーと馴染むところから始め、良い一日を過ごすことができたと述べている。 ■ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー):タイヤテスト4番手(総合4番手)/1分23秒859(2025年C5タイヤ)/113周 ■ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー):ルーキー9番手(総合18番手)/1分24秒738(2024年C5タイヤ)/130周 ■アルピーヌ:新レギュラーのドゥーハン&新リザーブのアーロンが2025年への準備 アルピーヌは、2025年用タイヤテストのマシンに、アブダビGPでデビューしたばかりのジャック・ドゥーハンを乗せ、ルーキー用マシンには、ポール・アーロンを起用した。2025年にアルピーヌF1のリザーブドライバーを務めるアーロンは、今回がF1マシン初走行。 ■ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ): タイヤテスト5番手(総合8番手)/1分24秒268(2025年C5タイヤ)/137周 ■ポール・アーロン(アルピーヌ): ルーキー4番手(総合9番手)/1分24秒275(2024年C5タイヤ)/121周 ■ハース:オコンと平川が初参加 2025年レギュラードライバーのエステバン・オコンは、アブダビGP前にアルピーヌから外れ、その代わりに今回のテストにハースから参加することが可能になったと言われている。ルーキー枠ではTOYOTA GAZOO RacingとともにWEC世界耐久選手権で戦う平川亮が走行。アブダビGPのFP1でマクラーレンで走ったばかりで、異なるチームのF1マシンに乗るという、貴重な体験をした。 ■エステバン・オコン(ハース):タイヤテスト6番手(総合10番手)/1分24秒305(2025年C6タイヤ)/119周 ■平川亮(ハース):ルーキー6番手(総合12番手)/1分24秒435(2024年C5タイヤ)/133周 ■RB:岩佐歩夢のフィードバックとタイムをチームは高く評価。ローソンは最多周回数を走行 レッドブルとホンダの育成ドライバーである岩佐歩夢がRBからルーキー枠で参加。岩佐は2024年に2回、RBからFP1に出場しているだけあり、RB VCARB 01には慣れつつあると述べていた。 「このマシンで走るうえでの自信がどんどんついて、F1マシンの感覚に慣れてきたように感じました」と岩佐。レーシングディレクターのアラン・パーメインは、フィードバックが素晴らしく、パフォーマンスランでのラップタイムにも競争力があったと、岩佐を高く評価する発言をしている。 タイヤテストの役割を担ったのは、2024年終盤戦のレギュラードライバー、リアム・ローソン。「誰よりも多く周回しようと決めていた」という言葉どおり、全ドライバー中最多の159周を走行。実質的に3レース分の距離を走り、多くのことを学んでシーズンを締めくくった。 ■リアム・ローソン(RB):タイヤテスト7番手(総合13番手)/1分24秒440(2025年C5タイヤ)/159周 ■岩佐歩夢(RB): 2番手(総合6番手)/1分24秒100(2024年C5タイヤ)/110周 ■マクラーレン:ノリスとピアストリが揃って参加。ルーキー車にはオワード 2024年チャンピオンのマクラーレンは、タイヤテストのためにレギュラードライバーふたりを走らせ、午前にランド・ノリス、午後にオスカー・ピアストリが作業を担当した。マクラーレンF1のリザーブドライバー、パト・オワードがルーキー用マシンで周回を重ねた。 ■ランド・ノリス(マクラーレン):タイヤテスト8番手(総合16番手)/1分24秒678(2025年C5タイヤ)/84周 ■オスカー・ピアストリ(マクラーレン):タイヤテスト10番手(総合19番手)/1分24秒838(2025年C5タイヤ)/72周 ■パト・オワード(マクラーレン):ルーキー3番手(総合7番手)/1分24秒222(2024年C5タイヤ)/116周 ■レッドブル:角田が初のテスト参加「RB20に適応するのに苦労しなかった」 角田裕毅が初めてレッドブルのテストに参加、2024年型RB20で2025年用タイヤテストに取り組んだ。角田はレッドブルRB20は自分のドライビングスタイルに合っていて、適応するのに苦労しなかったという感想を述べている。レッドブルは、レッドブル・レーシングとRBの2025年ラインアップを近いうちに発表するものと考えられている。 レッドブルのルーキー枠で走行したのは、育成ドライバーのアイザック・ハジャル。これまでFP1に4回出場しているハジャルは、今回のテストで多くの作業をするなかで、初めてスタート練習をする機会があり、楽しかったと語っている。 ■角田裕毅(レッドブル):タイヤテスト9番手(総合17番手)/1分24秒689(2025年C6タイヤ)/127周 ■アイザック・ハジャル(レッドブル):ルーキー8番手(総合15番手)/1分24秒632(2024年C5タイヤ)/125周 ■アストンマーティン:ドルゴヴィッチ、FP1とは異なる経験を楽しむ アストンマーティンはタイヤテストにテスト&リザーブドライバーのフェリペ・ドルゴヴィッチ、ルーキー枠に育成ドライバーのジャック・クロフォードをそれぞれ起用した。ドルゴヴィッチはFP1でAMR24を走らせた経験があるが、その時とは異なり、限界までプッシュすることができてよかったと語っている。クロフォードは初めてAMR24をドライブ。とても楽しい経験だったと振り返った。 ■フェリペ・ドルゴヴィッチ(アストンマーティン):タイヤテスト11番手(総合21番手)/1分25秒010(2025年C6タイヤ)/146周 ■ジャック・クロフォード(アストンマーティン):ルーキー10番手(総合20番手)/1分24秒997(2024年C5タイヤ)/109周 [オートスポーツweb 2024年12月11日]