名伯楽・内田順三も一目置く努力の天才は、30歳で史上最高齢ドラフト指名を目指す
内田コーチが「年齢詐称しろ」と話したのはもちろん冗談である。しかし平間は、「年齢に関係なく、夢を諦めずに頑張れ」と励まされた気がして嬉しかったそうだ。内田コーチとの会話は尽きることなく続いた。そして離陸直前、今度は真顔で、「狭い道を本気で辿ってきた人間だからこそ目指せる世界は必ずある」と言われたそうだ。 後日、内田コーチにインタビューした際、平間について聞いた。内田コーチの言葉は深い愛情を感じる内容だった。 「平間はいつも一生懸命。試合でも練習でも、創意工夫しながら取り組んで、ものすごく頑張っています。野球に取り組む姿勢は、本当に素晴らしいと思います。熱い気持ちを持っている選手は私は大好きなので、それで声をかけてね。それからちょくちょく話すようになりました。 平間は、あれだけ特徴のあるカーブを武器に持っています。投げるときには自分を鼓舞するように声を出して、なんとかバッターを抑えてやる、という強い気持ちも持っています。 平間に『年齢詐称しろ。NPBのスカウトに話しかけられたら、本当は23歳ですと答えなさい』と話したのは、もちろん冗談です(笑)。でも、いまもし彼が23、24歳なら、ドラフト指名される可能性は高いでしょうし、それだけの力はあります。30歳という年齢についていろいろ言う人もいますが、バッターを抑えられるなら、年齢は関係ないと私は思っています」 ■監督に「なぜ、自分じゃないんだ⁉︎」 平間は高知時代の2020、21年、四国アイランドリーグで2年連続最多セーブ王を獲得し、22年は最多勝と最優秀防御率の二冠を獲得しリーグMVPにも選ばれた。しかしNPBからドラフト指名はなく、毎年のように悔しい思いを味わい続けた。 その間、高知で同じ釜の飯を食べた石井大智(現・阪神/20年ドラフト8位)や宮森智志(現・楽天/21年育成ドラフト1位)はNPB入りの夢を叶え、広島から戦力外通告を受けて高知に来た藤井皓哉(現・ソフトバンク)もNPB復帰を果たした。 1年目に好成績を収めた宮森は今季2軍にいるが、石井と藤井は1軍の主力で活躍している。平間は高知時代、3選手と比較しても遜色ない成績を残しながらドラフト指名漏れした。それでも腐ることなく高いレベルで野球のできる環境を追い求め今日に至っている。 今季6月下旬時点で、NPBファームで好成績を残していた平間は、フレッシュオールスター出場の候補選手として自チームから監督推薦された。しかし、監督会議を経て決定した出場選手からは落選。くふうハヤテから投手として選ばれたのは、「元市役所職員」という肩書きを持つ24歳の早川太貴だった。