言葉も見た目も違う他者とわかりあうには? ライオンの国に引っ越したネズミのお話『ライオンのくにのネズミ』はグローバルな今の子どもに必携の一冊【書評】
ラストシーンで、ネズミはライオンと打ち解けます。体の大きさも言葉も違う2人だけど、そんなことは関係なかった。だとしたら、何が2人を遠ざけていたのか? お互いを理解するには何が必要なのか? そんなふうに考えるきっかけになるのではないでしょうか。物語の舞台が「ライオンのくに」というファンタジーであることも、ラストで効果的につながります。2人がどんなふうに打ち解けたのか、そしてネズミの成長を、本書でぜひ見届けてくださいね。 グローバルな今の時代の子どもにはもちろん、周りとの違いを感じ始めた子や、転校を経験して不安を感じている子にとってもサポートになりそうな本書。どこか異国っぽさを感じさせる色使いや陰影が美しく、ネズミたちの豊かな表情も読み手の気持ちを盛り上げます。
小学2年の男の子が読んだ反応は…?
一緒に読んだ小学2年の息子は、ライオン語を勉強する両親を見て“親までライオン語をしゃべってライオンのようになってしまったら…”と不安になるネズミと同じ気持ちになり、「あの後どうなったかな」と気になっているようです。ネズミの心の変化が丁寧に描写され、物語のなかに入り込みやすいのだと思います。 見どころがたくさんあるので、お子さんによってまったく違う感想が生まれるかも!? そんなところも楽しめそうな絵本です。 文=吉田あき