日本初の山岳リゾートホテル「上高地帝国ホテル」|憧れのリゾートホテル
■上高地の風景に溶け込む 自然と調和したホテル建築 (※その他の写真は【関連画像】を参照) 【関連画像】日本初の山岳リゾートホテル「上高地帝国ホテル」|憧れのリゾートホテル 長野県の西部に位置する「上高地」は、標高約1500mの山岳景勝地。穂高連峰の山岳美や清らかな川や池、湿原といった類いまれなる景色に憧れて、毎年100万人以上の登山客や観光客がこの地を訪れる。 日本屈指の山岳リゾートの魅力を国内外に広めたのが、イギリス人宣教師(兼登山家)のウォルター・ウェストン。明治24年(1891)に上高地を訪れた際、その素晴らしい景観に心を奪われて著書に綴った。 1930年代に入ると国を挙げて上高地を夏の聖地にする動きが強まり、政府の国際観光振興策の一環として昭和8年(1933)に「上高地ホテル(現・上高地帝国ホテル)」が開業。日本初の本格的な山岳ホテルが誕生した。 その翌年には上高地が国立公園に指定され、年間5万人を超える登山客や観光客が訪れるようになる。上高地ホテルの存在も広く知られることとなった。 以来、90年以上が経った今も、スイス風の赤い三角屋根と丸太小屋風の外観は上高地のシンボルであり続ける。 館内の飲用水は、今も昔も、ホテルから約1.6㎞離れた六百山から引き込んだ天然水。こんこんと湧く湧き水を地中パイプで引いている。 90周年の改修工事を経て、ロビーに水汲み場が設けられたほか、より名水を楽しめるよう全客室に飲み水専用の水栓を設置した。 「この美しい自然と共存し、幾度訪れても変わらないおもてなしを提供し続けていきたい」と、この春に総支配人に就任した福山貴美恵さんは話す。 中部山岳国立公園に位置する上高地は、特別名勝と特別天然記念物の2つの称号を持つ唯一無二の景勝地。厳しい規律の下で守られてきた自然は、「また訪れたい」という不思議な憧憬の念を与えてくれる。 大倉喜七郎(おおくらきしちろう)明治15年(1882)~昭和38年(1963) 大倉財閥2代目総帥。1922年に父親に代わって帝国ホテル会長に就任し、1933年に上高地ホテルの開業に携わる。 ■山岳リゾートで楽しむ伝統の味と上質なひと時 木の温もりを感じる空間と暖炉にかかる巨大なマントルピースが、山岳リゾートならではの雰囲気を醸し出す。まろやかな湧き水で淹れたコーヒーやオリジナルのケーキでティータイムを過ごす至福といったら。 夕刻にラウンジは宿泊者専用のバー「ホルン」に生まれ変わる。炎の揺らぎとパチパチとはぜる薪の音に癒されながら、コーヒーだけでなくオリジナルカクテルを嗜むことができる。 レストランは、本格的なフランス料理を供する宿泊者専用の「ダイニングルーム」と日本料理の「あずさ庵」、日帰り利用も可能なカジュアルレストラン「アルペンローゼ」の3つ。どのレストランも信州の味覚を取り入れていて、貫禄の味わいで魅せる。 客室は、三角屋根の勾配をそのまま天井に生かした山小屋風の部屋や穂高連峰のダイナミックな眺望を楽しめる専用のベランダ付きの部屋、大人数で使えるファミリータイプの部屋など、山岳リゾートならではの多彩な趣だ。美しい自然に囲まれながら、心安らぐ雰囲気を味わえる。 上高地を訪れる多くの人が、「一度は宿泊してみたい」と憧れる格式高い老舗ホテル。「幾度訪れても変わらないおもてなしを提供したい」と話す福山総支配人の言葉どおり、一流の心配りが優雅な気分を一層高めてくれる。 上高地帝国ホテル 長野県松本市安曇上高地 TEL/0263-95-2001 料金/1泊素泊まり4万3010円~ 客室数/74室 チェックイン・アウト/14:00・11:00 アクセス/(電車)アルピコ交通「新島々駅」よりバスで約1時間5分。(車)沢渡駐車場よりバスで約30分 ※2024年は11月15日(金)までの開山予定。 文/松井さおり 取材協力/帝国ホテル