乳がん、卵巣がんの血縁者がいる場合、どうする?二人の「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)」の女性の選択【更年期女性の医療知識アップデート講座】
◆検査のおかげで早期乳がんを発見 手術にて右乳房を全摘。がんと判明してからは、検査、治療費すべて保険適用になる。 「非浸潤性乳がん(ステージ0)の超早期乳がんでした。マンモグラフィと超音波で異常ナシだったにもかかわらず、造影乳房MRI検査によって超早期で乳がんを発見できたことは、MRIの検出感度に驚くとともに、その有効性を強く認識しました。おかげで8年たった今も経過観察だけで過ごせています」 28歳で亡くなった妹さんは、若年で片方の乳房にふたつのがんが多発していたことから、「HBOCだったと想像できる」と恵美さん。HBOCとわかっていたら治療法も異なっていたのに、当時はそこだけ部分切除し、その後、再発。妹さんは1年もたたずに亡くなった。母、叔母がすでに乳がんにかかっており、妹さんが亡くなったときには、家族全員が恐怖に震えていた。 「私は、妹(次女)の治療中のサポートを経験していましたので、抗がん剤や放射線治療の大変さを知っています。今回、遺伝学的検査を受け、HBOCとわかったことで専用のサーベイランスを受けられ、早期発見がかない、つらい治療が回避できたことは、私にとっても家族にとっても大きなことでした。 妹が乳がんになった2002年当時は、遺伝性という言葉すら知られておらず、20代という若さで進んだ状態でがんが見つかりました。フルコースのつらい治療を受けましたが、妹は命を落としています。当時、今のような情報や知識、サーベイランスがあったら、妹は助かったかもしれない。 もし、ご家族の背景などから、『遺伝性では?』と思われたら、まずは遺伝カウンセリングを受けることをおすすめします。病気に対する正しい知識を得ることはとても大切です。遺伝カウンセラーさんは、患者の気持ちに寄り添いサポートしてくれます。実際、私もカウンセラーさんにはとてもお世話になり、ひとりきりで不安や悩みを抱えることなくスムーズに今回のような最善の対処ができました」 このあと、恵美さんは長い間迷っていた、卵巣がん発症前に卵巣を切除する手術を受けた。術後、卵管の両端に異型細胞(がんになる可能性の高い細胞)が見つかったそうだ。