「自己肯定感の低い私の心が全回復できる場所」蛙亭・イワクラが献血に通う理由 #今つらいあなたへ
「心が全回復」たどり着いた自分を認められる場所
――日々の生活で心が疲れた時に、献血に行かれるそうですね。 イワクラ: ストレスが溜まって心が疲れた時には、献血に行くことにしています。初めて献血をしたのは、大阪の献血会場に営業の仕事で行った時でした。外で結構暑い中漫才をやったにもかかわらず、めちゃくちゃスベった上、おじいさんに「おもんないぞ!」とヤジを飛ばされて。終わって疲れきっていた時に献血をやってみたんです。そしたら、看護師さんたちの喋り方がめちゃくちゃ優しくてすごく癒やされたんです。 私は芸人になるために宮崎から大阪に出て来たのですが、大阪の人たちは喋り方が速くて。ツッコミも「何してんねん!」「はよせいやっ!」と怒られている気がして、毎回「すみません」と思っていたんですけど、献血会場の看護師さんたちは「血圧測っていきますね」「今日は朝ごはん食べましたか?」とゆっくり話しかけてくれました。その喋り方が落ち着くというのと、どの会場に行っても看護師さんが全員優しい。「ここに来れば優しい人に会えるぞ」と思い、それからは心がしんどいなと思ったら、癒やされるために献血に行くようにしています。人も優しくて、献血が終わるとジュースやアイスも貰えて、疲れた心が全回復するので、私にとって癒やしの場所になりましたね。 ――献血に行ってみて、どんな心境の変化がありましたか? イワクラ: 献血に行くようになってからは、「自分って存在していていいんだ」と思えるようになってきました。お笑いを始めて、ファンの人から「すごい見てます!」「ネタ好きです!」と言ってもらえて、それはそれで嬉しいんですけど、お笑いは自分が好きで勝手にやっていることなので、世の中に貢献できている感覚がなかったんです。そのせいか「もう私なんかいなくていい」とか、「私のことなんて誰も好きじゃない」みたいに、「生きていていいんだ」ということを時々忘れちゃうんですよね。 ある時、献血パックに溜まっていく自分の血液を見ていたら、看護師さんから「パック、触ってみますか?」と声をかけてもらって、触らせてもらったことがありました。血液は温かくて「うわぁ、私生きているんだ」と実感できたことを覚えています。そして、最初こそ自分が癒やされるために行っていたんですが、看護師さんたちから「ありがとうございます!」と感謝もされて「私ってすごい役に立っている!」と思えたのが、自分にとっては衝撃でしたね。献血は、私も生きているだけで何かの役に立てることがあるんだと、最初に気づかせてくれた場所かもしれないです。最近はちょっとずつ、ファンの方々からの「好きです」という言葉をまっすぐに受け止められるようになってきました。
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