世代No.1ガードの能力を見せつけるも、準々決勝で福岡第一に敗れた東山の瀬川琉久「崎濱さんとは気持ち、責任と自覚が違った」
「いつ逆転されるか分からない危機感があった」
フィールドゴールは第3クォーター残り3分半の場面が最後、4つのターンオーバーのうち3つは後半に犯した。数字は残酷に物語っていた。「10点リードしている中で、常にいつ詰められて逆転されるかというのは本当に分からなかった。危機感があった」。 点差以上のプレッシャーが2年生の肩にのしかかっていた。東山は例年にない選手層を誇っていたが、第一が11人出場したのに対し、東山は9人。スターター以外で10分以上のプレータイムを得た選手はいなかった。佐藤友とともにフル出場を余儀なくされた。大澤徹也コーチも「必要以上に瀬川がハードワークで消耗してしまった。うまく機能しなかった。ボールから逃げている部分ものぞいていて、ファウルをもらってやろうという気持ちがほしかった。第一さんの崎濱君に3年生の意地を見せられ、瀬川もまだまだだったかな」と脱帽した。 中学時代にJr.ウインターカップを制し東山に入学したが、1年時の昨年はウインターカップの出場権を逃した。洛南との大一番を前に鼻骨を骨折。強行出場したが、チームを勝利に導けなかった。今夏のインターハイは準決勝で福岡第一に快勝したものの、決勝では観客を味方に付けた日本航空を相手に、リズムを崩して準優勝。日清食品トップリーグも勝てば優勝に大きく近づく開志国際戦で勝負どころのシュートを決められず涙している。繰り返し、あと一歩届かなかった頂へ、今大会こそという思いは強かった。初戦の桜丘戦は40得点、3回戦の帝京安積戦も出場17分余りで22点を挙げていた。 試合後にゲームキャプテンの佐藤友と抱き合うと、チームを勝たせられなかった不甲斐なさを噛みしめた。ともに辛苦を味わっただけに「2年間一緒にバスケットできたのは良い経験で、友さんはチームを引っ張ってくれるリーダーでした。新チームでは友さんの役割も、今のエースの役割も担います。待っている壁は高いと思いますが、乗り越えられると信じています」とリベンジを誓った。 大澤コーチも「2年生としては合格点なのですが日本代表、世界を見据えてやってほしい。ここで立ち止まっているわけではないと思う。崎濱君のシュートからエースの意地がどのようなものか、理屈じゃない何かを感じ取って将来に生かしてほしい」と信頼は揺るがない。