九州の半導体産業は25年も盛り上がり
昨年末からTSMCの熊本工場「JASM」で量産が開始されるなどし、2025年は九州の半導体産業がより盛り上がりを見せる年となりそうだ。24年には多くの半導体関連企業が九州で新工場や新オフィスを開設し、九州における半導体サプライチェーンがより強固なものとなりつつある。 荏原製作所は昨年末、熊本事業所(熊本県南関町)に建設していた新生産棟の完成を発表した。新生産棟は2025年度第2四半期からの稼働開始を予定しており、主力製品であるCMP装置をはじめとする半導体製造装置を生産する。新生産棟は地上4階建てで、延べ床面積は約1万9400平方メートル、建築面積は約7700平方メートル。同社では、世界的な半導体需要の拡大を見込み、23年10月から新棟の建設に着手。新生産棟の完成により、生産能力は1.5倍となる。熊本ではTSMCの第2工場の建設も本格化しており、同工場への導入に向けた提案活動も行っている。 CMP(Chemical Mechanical Polishing)は、半導体前工程においてウエハー表面を平坦にするために行う研磨工程。研磨材の入った薬品と砥石(といし)で機械的に表面を磨くことから、このように呼ばれる。ウエハーをキャリアと呼ばれる部材で保持し、化学物質や砥粒を含んだ「スラリー」を流し込みながら、研磨パッドを回転させ、ウエハーの表面を磨き、平坦化する。近年、半導体デバイスの高度化とともにトランジスタ構造は複雑化しており、成膜とCMPを繰り返し形成していく。CMPは半導体の製造工程において重要な工程となっている。 荏原製作所は新生産棟の立ち上げを通じ、今後ますます需要が高まる半導体製造装置需要に対応していく。また、新生産棟および既存工場の建屋屋上には順次、太陽光パネルを導入する計画。再生可能エネルギーの活用を進め、カーボンニュートラルの実現にも貢献していく。
電波新聞社