世界幸福度ランキング1位・フィンランドの高校生が受ける授業が面白い!スマホと広告、過剰な消費への問題提起…「良い人生って何だろう?」
国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が2024年に公表した「世界幸福度レポート」によると、フィンランドの幸福度は1位で、首位は今回で7年連続だそう。フィンランド・ヘルシンキ大学非常勤教授の岩竹美加子さんいわく、「フィンランドの学校には、自分の人生観を育むための知識と教養を得る『人生観の知識の授業』がある」とのこと。そこで今回は、岩竹さんの著書『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』から、一部を抜粋してご紹介します。 【書影】自分だけの答えを探す独自の授業から、幸せに生きるヒントを探る。岩竹美加子『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』 * * * * * * * ◆「良い人生って何だろう?」 2022年11月に、ヘルシンキ近郊のヤルヴェンパー市の市立高校のクラスを見学した時。 フィンランドは秋学期と春学期の2学期制で、8月中旬に始まり翌年の5月末か6月初めに終わる。秋学期が新学期だが、始まる日と終わる日は全国一律ではなく、自治体によってやや異なる。 高校には、ピリオドというシステムがある。秋学期は3つのピリオドに、春学期は2つのピリオドに分けられ、全部で5つのピリオドがある。私が見学したのは、2つ目のピリオド(9月29日~11月25日)だ。 このピリオドで、「人生観の知識1」は週3回、各1時間15分の授業があった。ティーリカイネン先生は8年前からそこで哲学と宗教、人生観の知識を教えている。 見学した「人生観の知識1」は、「人生観の知識」を選択している生徒には必修のクラスだ。 日本では1年生のクラスという言い方になりそうだが、2年生もいた。どのクラスをいつ取るかは、生徒によって異なる。 フィンランドの高校は選択制のクラスが多く、自分の時間割は、アドバイザーの先生と一緒に自分で作る。 時間割はそれぞれ異なるので、同じ学年やクラスであってもそれぞれの時間割は異なり、始業時刻や終業時刻も異なるのが普通だ。
◆最初の話し合い 教室に入ると、机を4つ並べて正方形にしたものが9組置かれていた。それぞれに2人から4人の生徒が座り、全部で25人の生徒がいた。 毛糸の帽子と野球帽をかぶった生徒が3人いたが、服装は自分で決めることなので問題はない。紙の教科書はなく、それぞれのグループで1人から3人がパソコンを開いていた。 その日のトピックは「良い人生」だった。小中学校でも教えているので新しいものではなく、馴染んだテーマだ。 授業は先生の話、アニメを見ること、机ごとのグループでの5分間の話し合い3回で構成されていて、先生は自分の机でパソコンに向かい、話したりプロジェクターで白板にトピックを投射したりしていた。 グループでの最初の話し合いでは、良い人生のために必要なものは何かをテーマとして、10個を5分間で書き出すことが課題だった。 一人が紙に書き、5分たつとグループで出されたことを読み上げる。衣食住などの基本的なニーズ、家族、健康、愛、友達、趣味、お金などが挙げられていた。