上皇さま90歳 「平成のお言葉」を振り返る~被災者、平和、社会問題、家庭への思い【皇室 a Moment】
疎開先から戻った上皇さまの原風景は、東京の一面の焼け野原です。それだけに平和への思いが強いのだろうと思います。戦後の節目での広島、長崎、沖縄などへの訪問や、サイパン、パラオ訪問などは、戦争で犠牲になった人たちを慰霊するためでした。
初の外国での慰霊となったサイパンは、私も同行しておりましたが、多くの日本人が身を投げたバンザイクリフで、強い風の中、海に向かって深々と慰霊される姿に、強い思いが伝わってきました。 ――日本や海外など多くの場所に足を運ばれることに、平和への思いの強さを感じますね。
●2010(平成22)年 誕生日一般参賀 上皇さま:「今年は経済情勢が厳しい中、多くの地域で猛暑が続きました。苦労の多い日々を過ごした人も多いのではないかと案じています」 ●2014(平成26)年 誕生日会見 上皇さま:「常々心に掛かっていることとして多雪地帯での雪害による事故死があります」「私自身高齢になって転びやすくなっていることを感じているものですから、高齢者の屋根の雪下ろしはいつも心配しています」 ●2010(平成22)年 誕生日会見 上皇さま:「加齢のことですが、耳がやや遠くなり、周囲の人には私に話をするときには少し大きな声で話してくれるように頼んでいます」「高齢化が進む今日の社会において、高齢者への理解がますます進み、高齢者へ十分配慮した建物や町が整備されていくことを切に願っています」 ●1994(平成6)年 誕生日会見 上皇さま:「一時は東京の空が黒ずみ、公害に弱い木は枯れていきました。しかし、ある時期から空はかなり澄むようになり、庭の弱っていたアカマツも立ち直り、また、キンモクセイの花も咲くようになりました」 ――高齢者の問題については、ご自身の実感も織り交ぜながらお話しをされていまして、さまざまな分野にご関心があるのが分かりますね。 科学者の視点で環境問題や気候変動に目を向け、国民生活を案じられてきたことを改めて感じます。