『極悪女王』を観て興味、作家・雨宮処凛が女子プロレスを初観戦「え、こんなに可愛いの?」
格差・貧困問題に取り組み、メディアで積極的に発言をしている作家・雨宮処凛が、バンドやアイドルなどを愛でたり応援したりする“推し活”について深堀りするコラムシリーズ第9回。今回のテーマは、女子プロレスと推し。Netflixドラマ『極悪女王』を観て女子プロレスに興味を持った雨宮氏が、初めて現場に足を運んだ。団体によって色が違う女子プロレス、最初に観戦したのは、ライブパフォーマンスなどで選手のアイドル性も楽しめる東京女子プロレスだ(前後編の前編)。取材・文/雨宮処凛 【関連写真】ゆりやんレトリィバァ、剛力彩芽、唐田えりかの演技も話題に『極悪女王』【6点】 え、こんなに可愛いの? こんなにキラキラしてるの? このアイドルみたいな子たちが、本当にプロレスするの一一? 生まれて初めて女子プロに行った私の第一印象だ。 リングの上では、フリルやレースたっぷりで、パニエ(スカートを膨らませるためのアンダーウェア)で膨らんだスカートの女の子たちが歌い、踊り、笑顔を振りまいている。曲は『ベイビーフェイス』。満員の客席には、色とりどりのサイリウムを振る幸せそうな男性ファンたち。 その光景は、アイドルの現場そのものだった。 「女子プロ」が観たい一一。 そう思ったのは、今年の話題を『地面師』とともにかっさらったNetflix作品『極悪女王』を観たことが大きい。 ご存知の通り、80年代に一世を風靡した女子プロを描いた作品だ。主演はゆりやんレトリィバァで、女子プロのヒール・ダンプ松本を熱演。当時大人気だった「クラッシュギャルズ」との攻防が描かれ大きな話題となった。 思えば私が小学生だった80年代、アイドル雑誌には「クラッシュギャルズ」の長与千種とライオネル飛鳥が当たり前に掲載されていて、同級生女子の間では「千種派」「飛鳥派」といった派閥があったほど。下敷きや筆箱などにも彼女たちの顔がプリントされている人気ぶりで、また、テレビをつければダンプ松本がチェーン片手にブル中野らとともに暴れているというのが日常だった。それほどに、女子プロは「お茶の間」に浸透していた。 そんな、いかがわしくも絶大な人気を誇った当時の女子プロの世界がドラマ化されたのだ。面白くないはずがない。 詳しい内容は伏せるが、プロレスに青春を捧げし女子たちと、それが巨額の金を稼ぎ出したあの時代の物語は多くのプロレスファンも熱狂させ、また当時を体験している中年たちの心も鷲掴みにした。 そんなことから生まれて初めて高まった「女子プロ熱」。これを機に、令和の女子プロを体験してみようと思ったのだ。