24年に解明された歴史上の謎、カスパー・ハウザーの「消えた大公子」説は否定
苦悩する老作曲家
クラシック音楽の作曲家ベートーベンは1827年、生涯を通じて難聴や肝臓病、胃腸の不調などに悩まされた末、56歳で亡くなった。ベートーベンは自らの病気について調査、共有してほしいとの希望を表明し、理由として「少なくとも私の死後、世界と私との間でできる限り和解が生まれるように」と記していた。 研究者は5月、本物と確認されたベートーベンの毛髪から高濃度の鉛が検出されたことを示す論文を発表。作曲家が鉛中毒にかかっており、それが原因で度重なる健康問題を引き起こしていた可能性を示唆した。 この研究結果は、ベートーベンの健康状態の複雑なニュアンスを調査する目的でゲノムが一般公開された後に明らかになった事実を踏まえている。 鉛に加え、ベートーベンの毛髪にはヒ素や水銀も多く含まれていた。汚染されたドナウ川から捕れた魚や、鉛を甘味料や保存料として使ったワインを生涯摂取した影響が蓄積した可能性が高い。
植民地の秘密とスキャンダル
3月には、新たなDNA解析手法を駆使した遺骨の調査により、初代米大統領ジョージ・ワシントンの一族の運命に光が当てられた。 1781年に死去したワシントンの弟サミュエルや一家の他の19人は、ウェストバージニア州チャールズタウン近郊のサミュエルの土地にある集団墓地に埋葬された。 しかし、一部の墓には墓標がなかった。米陸軍DNA鑑定研究所の研究者、コートニー・カバニーノ氏が3月にCNNに説明したところによれば、これは墓荒らしを防ぐ目的だった可能性が高い。 カバニーノ氏率いるチームは集団墓地から1999年に発掘された遺体を調査し、サミュエルの孫2人やその母親を特定した。サミュエルの眠る場所を探す発掘調査も行ったものの、墓のありかは依然謎に包まれている。 一方、これとは別にバージニア州ジェームズタウンの英国人入植地で行われた無標の墓の調査では、初代総督トマス・ウェスト一族の長年秘められたスキャンダルが発覚した。 研究者が墓に埋葬された男性2人の遺骨から採取されたDNAを解析したところ、2人とも共通の母方の血筋を通じてウェストと血縁関係があった。そのうちの一人、ウィリアム・ウェスト大尉はトマス・ウェストの未婚のおば、エリザベスが生んだ非嫡出子だった。 ウェスト大尉の出生の詳細は当時の一家の系図記録から意図的に削除されており、出生の秘密が彼を大西洋を渡って植民地に加わる航海に駆り立てたことが示唆されている。