物理ベースAI搭載のロボットが登場、製造業に与える影響とは?
時代のニーズに合わせサステナビリティも
またGrayMatter社のチーフサイエンティストであるグプタ氏によると、新技術は持続可能性にも大きな役割を果たすとのこと。材料消費を削減することで、消耗廃棄物を約30%削減できる上、パフォーマンスにはかつてないほどの信頼度と耐久性があり、処理能力を最大限にできるとしている。 同社が得意とする「特殊」な表面処理工程は、製品ごとの特殊なリクエストや工程ごとの異なる仕組みがあるため従来型の大量生産ロボットでは対応できなかった。この物理ベースAIを組み込んだロボットは、大量生産ロボットの隙間を埋めるものではなく、ばらつきの無い高品質の製品生産をサポートし、これまで重視されてこなかった従業員の新たなキャリアアップの機会を提供するまでに展開できるとしている。 こうしたロボットを導入している企業側も、製造のスピードアップや仕上がりに満足している模様。アメリカの商業用照明や家具を手掛けるBega North Americaのオペレーション担当副社長は、「弊社の部品は非常に多品種で、オペレーションの自動化は気が遠くなるような概念だと思っていた。GrayMatter社のロボットはボタン1つで部品の数を問わないタスクの切り替えもできる」と述べ、良好な仕上がりに満足し、労働者不足もある程度解消できているとしている。 また、別の会社の担当者はロボットの採用を「人員削減を目指しているのではない。成長のためのツールであり、従業員が心身ともに消耗することなく、好きな仕事を遂行できるようにしたい」と述べ、同様に生産効率のアップと合わせて従業員のキャリアアップ、ウェルフェアについて言及している。 同社のロボットのインターフェースはユーザーフレンドリーであることも特徴だ。ロボットや自動化の経験がない企業や従業員でも簡単に操作できる。これは、危険を伴う仕事の研修にこれまで通常6週間程度かかっていたものが、1日で完了するという時短ぶりだ。新しいロボットの導入に何週間も時間をとられ、さらなる生産性の低下を招くという事態もなく、わずか1日で100%オペレーションへと導入できるのは物理ベースAIを組み込んだロボットならでは。人間には到底できない。