株式市場における「炭鉱のカナリア」とは?投資家が見逃せない暴落危機のサイン
4. 先行指数や景況感調査の悪化
・代表的な先行指数とは? OECD(経済協力開発機構)が発表する「先行経済指標」や、各国のPMI(購買担当者景況感指数)、ISM製造業景況指数など、将来の経済活動を占うために注目される指標は数多く存在します。こうした先行指標が下降トレンドに入ったり、予想を下回る数値を連発したりすると、将来の企業収益悪化を暗示するため、株式市場には不安が広がります。 ・景況感悪化はなぜ株価に先行する? 企業は将来の売上見通しや受注状況を日々確認しながら生産計画を立てます。景況感が悪化するということは、企業が「この先あまり良くない」と感じていることを意味します。 投資家もまた、こうしたデータを吟味し、株価に織り込んでいくため、市場がまだ比較的堅調に見えている段階で先行指標が転じれば、それは「カナリアのさえずり」となり、潜在的なリスクを浮き彫りにします。
5. 新興国市場やコモディティ価格の異変
・新興国市場が示すグローバルな不安 新興国市場(エマージングマーケット)は、世界経済拡大期に高い成長率を誇りますが、逆にグローバルなリスク回避ムードが強まると真っ先に資金流出が起こりやすい市場といえます。 過去には、新興国通貨や株式市場が暴落し、その後、先進国にも波及していく形でグローバルなリスクオフが加速した事例があります。新興国市場の崩れは、先進国市場の暴落に先行する「カナリア」として注目できます。 ・コモディティ(商品)価格の役割 銅や原油、鉄鉱石などのコモディティ価格は世界経済の需給バランスを反映します。特に「ドクター・カッパー(銅博士)」と呼ばれる銅価格は、インフラ建設や自動車、電子機器など幅広い分野で使われているため、銅価格が大きく下落しはじめると、世界的な需要減退=経済減速のサインと捉えられます。 こうしたコモディティの動きにも目を配ることで、株式市場全般がまだ安定しているように見えても、実は足元で危機が迫っていることを感知できるのです。