株式市場における「炭鉱のカナリア」とは?投資家が見逃せない暴落危機のサイン
2. 金融セクター株式の弱含み
・なぜ金融株がカギなのか? 銀行や証券会社、保険会社などの金融機関は、経済・市場全体の健康状態を映す鏡のような存在です。企業や個人への貸し出し、資本市場を通じた調達、デリバティブ取引など、金融機関はあらゆる資金の流れに関与しています。そのため、経済が減速すると、不良債権の増加や貸し渋り、金融商品の利ザヤ縮小などが直撃し、金融株が敏感に反応します。 ・「カナリア」としての金融株 株式市場全般がまだ堅調に見えていても、金融株が先行して下落トレンドに入る場合は要注意です。金融セクターはリスクマネーの供給源であり、経済における血液循環を司る存在。ここが弱ってくると、実体経済や株式市場全体への影響は時間の問題になります。 2008年のリーマンショック前夜、銀行株は相場全体に先んじて下落基調を見せました。市場で生き残り続けている一握りの投資家はこの時点で「資金繰りの悪化」を感じ取り、徐々にリスク資産から撤退していったのです。
3. 債券市場のイールドカーブ逆転(逆イールド)
・逆イールドとは何か? イールドカーブとは、残存期間の異なる国債の利回りをプロットした曲線のことです。通常、期間が長いほど不確実性が高くなるため、長期金利は短期金利よりも高くなり「右上がり」の曲線になります。 ところが、将来の景気悪化が予想されると、長期国債が「安全資産」として買われ、長期金利が下がります。同時に、中央銀行が利上げ等で短期金利が高止まりしている状況では、長期金利が短期金利を下回る、すなわち「逆イールド」が発生します。 ・なぜ逆イールドがカナリアなのか? 歴史的に、逆イールドは景気後退の強い予兆とされています。アメリカを始めとする主要先進国では、逆イールドが起きてから1年以内にリセッションが訪れたケースが多く、その過程で株価が大きく調整することが珍しくありません。投資家はこのシグナルを「景気後退リスクの高まり」として捉え、ポートフォリオのリスク管理を強化する契機とします。