「1年経つのが早い」と感じる人は要注意…時間術を妄信する人が気づいていない致命的な"落とし穴"
■Step4 自分の本当の価値観を見つけよう 「余命半年」のときあなたは何をしたいか 価値観は、自分でわかっているつもりでも、意外にわかっていないことが多いものです。そこで、「自分が本当は何をやりたいのか」ということをいま一度、検証してみたほうがいいでしょう。仕事やボランティアといったライフワークに限らず、趣味など「やりがい」を感じることなら何でもいいので、列挙してみてください。 「もし余命半年と宣告されたら、何をしたいのか考える」といったワークがあります。自分を極限状態に追い込むシミュレーションによって、本心をあぶり出すという手法です。「死」を直視することにもつながります。「時間はギリギリまだある」というシチュエーションであれば、自分がどんな行動を取るのかを考えてみましょう。 そこから、「自分が一番やりたいこと」もわかってくるはず。とはいえ、死について、なかなかリアリティを持てないという人は、「映画」を鑑賞するといいでしょう。ほとんどの映画では、人が死ぬ場面が出てくるので、そこに感情移入すれば、死についてのイメージが湧きやすいのです。 自分に置き換えて、「死に直面したらどのように感じたり、行動したりするだろうか」と想像してもいいし、映画のどのようなシーンで心が動いたのかを、チェックしてもいいでしょう。 自分の価値観は「7歳まで」に決まる 本当の価値観は、人生観がガラッと変わったときの体験や、子どもの頃の行動を振り返ってみることで、わかることも少なくありません。 人生観がガラッと変わった体験の場合、自分の記憶にも強く残っていて、価値観と直結しているケースが多いもの。ただし、楽しい思い出よりも、ネガティブで困難な体験のほうが、価値観の形成に大きな影響を与えます。使命感や「人のためになる価値観」に、結びつきやすいのです。 例えば、可愛がっていたペットの死に立ち会って「獣医師を志した」とか、友人の交通事故をきっかけに「警察官を目指すようになった」といった具合に、職業選択の動機になることもよくあります。 7歳くらいまでに熱中していたことも、「自分の本当の価値観」を反映していることが多いといえます。というのも、「三つ子の魂百まで」という諺もあるように、性質や性格は約40%が遺伝的要素で決まり、社会的な価値観の影響の少ない幼少期は、そういった遺伝的な要素が見えやすいからです。 したがって、子どもの頃の価値観に沿って生きれば、大人も生きやすいともいえるでしょう。ただし、大人の場合、幼い時の記憶は曖昧になっているケースが多いので、子どもの頃の価値観を確かめたいなら、親や年長の家族などに、当時の自分の様子について、客観的な意見を聞くといいでしょう。それに、小学校の通信簿を見るのもお勧めです。教師は意外に、子どもの好き嫌いや適性を、的確に把握しているものです。 子どもの頃に熱中していたことがわかったとしても、絵を描くのが好きだったから、「画家や漫画家になりたかった」と決めつけるのは短絡的です。 私の場合ですが、絵を描くのが好きで、将来の夢は「漫画家」だったのですが、言うまでもなく、簡単に漫画家として成功できるわけではありません。 そこで、子どもの時の状況をもう少し分析して、絵を描くのが好きだったのは、「創造性を発揮して作品を生産する」という価値観だったからだととらえました。つまり、創造性を発揮できるのなら、漫画家でなくてもかまわないわけです。実際に、私は本を書いたり、インターネットに動画をアップしたりして、クリエーティブな仕事に携わっています。 例えば、「おもちゃのブロックで遊ぶのが好き」と一口に言っても、見本通りの形をつくるのが得意だったのか、それとも形を自由につくるのが好きだったかによって、「公務員タイプ」や「芸術家タイプ」に適性が分かれるわけです。子どもの頃の状況は、詳しく聴き取ったほうがいいでしょう。それから、好きだったのが「絵」「音楽」といった「名詞」ではなく、「絵を描く」「音楽を奏でる」といった「動詞」であることも、価値観を見極めやすくする一つの方法です。