問題点はないのか…愛犬、愛猫にウリ二つ!「クローンペット」って何だ?
外見からは、まったく見分けがつかない犬たち。写真の動物は、遺伝的に同じ性質を持つクローンペットだ。 【画像】す、すごい…! 外見はほぼ一緒でウリ二つの「クローンペットたち」 「世界初の哺乳類(ほにゅうるい)クローン『羊のドリー』が、’96年7月に誕生してから28年。愛犬、愛猫にそっくりなクローンペットは中国、韓国などで増えつつあり、世界で2000匹以上が作られています。米国では女優のパリス・ヒルトンが、行方不明の愛犬のクローンを2匹作り話題となりました」(全国紙経済部記者) クローンペットは皮膚組織から誕生する。現在、日本を含め各国では動物のクローンに関する法規制はなく生産は自由だ。1000匹近い実績がある中国のベンチャー企業『シノジーン』社の海外事業部長で、日本代理店『リーディングアソシエイツ』代表・楊志平氏が説明する。 「元のペットから採取した5㎜角ほどの皮膚片を培養(ばいよう)してクローンの体細胞を作り、そこから核を取り出します。メスの卵子に元のペットの核を移植後、代理母の子宮に移す。あとは通常の妊娠プロセスをたどり、犬なら3ヵ月ほどで出産となります。成功率は8割ほど。料金は犬が5万ドル(約724万円)、猫が4万5000ドル(約652万円)です」 ペットロスに苦しむ飼い主が、ウリ二つのクローンに救われるケースは多い。 「愛犬が亡くなり、後を追ってしまいそうなほど衝撃を受けている男性がいました。その飼い主はいま、クローンに会えることを励みにお金を貯(た)めています。クローンには飼い主と共有する記憶はありませんが、同じ人に育てられれば性格も元のペットに似てくるんです」(楊氏) 中国では優秀な警察犬の血統を継承、繁殖させるために、クローンのテクノロジーを利用。絶滅危惧種・北極オオカミのクローン化にも成功している。一方で問題はないのか。北海道大学で生命倫理を研究する、石井哲也教授が指摘する。 「クローンペットを作るために、大量のメスの犬や猫がホルモン注射を打たれ卵子を引き抜かれています。さらにクローンは、先天異常などのリスクが高い。動物愛護の観点からすれば、現在のクローン繁殖方法は議論の余地が大いにあるんです。過渡期の産業だと思います」 現在、国内で飼われている犬猫はおよそ1600万頭。今後、日本でもクローンペットが流行するかは未知数だ。 『FRIDAY』2024年8月23・30日合併号より 取材・文:形山昌由(ジャーナリスト)
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