「新幹線国際会議」台湾で開催、どんな議論が交わされたのか 高速鉄道に関心持つ世界の要人がずらり参加
「JRとは違う高鉄独自の取り組みで、世界に誇れるものはあるか」と江会長に尋ねると、即座にこんな答えが返ってきた。 「開業当初、切符は駅の窓口でしか買えなかったが、2010年にコンビニで取り扱いを始めて1万店で買えるようになった。2011年にはモバイルチケット化も始めた。こうした取り組みは海外の鉄道事業者にも参考になるのではないか」 ■新車両はN700Sを「参考にして開発」 そして、31日の会議当日は12の国・地域から鉄道事業者、政府関係者、学者、専門家など総勢200人が参加した。冒頭、陳建仁・元副総統が会場に駆けつけてスピーチを行った。
「かつて、台湾には列を作って並んでバスや鉄道を待つという習慣がなかった。しかし、高鉄の開業により誰もが列を作って並ぶようになった。また、高鉄の定時運行率は99.6%と非常に高く、時間を守るという習慣も作った。つまり高鉄は国民の習慣を変えた。この会議には海外から多くの学者が来ている。ぜひ高鉄の取り組みを見てほしい」 陳元副総統に続き、江会長が壇上に立った。「列を作って並ぶようになったのは、高鉄ではなく1996年開業の台北メトロ(MRT)がきっかけ」と苦笑しながら陳元副総統の発言を訂正したが、この点に関して高鉄の貢献は間違いないし、高い定時運行率により効率的な生活を送れるようになったという点でも高鉄が国民の生活を変えたのは確かだ。
また、江会長は高鉄の成功要因として、JR各社のサポートが得られたことのほかに、当初はフランス国鉄やドイツ鉄道から運行管理の専門家や運転士を招き、2008年に入って人材の現地化を実現したことも説明していた。また、保守作業の機器については独自に開発していることも説明した。そして、前述のチケット販売戦略。これらのことから、台湾の高速鉄道は日本の100%コピーではなく、「台湾オリジナル」の要素がたくさんあることを強調したいのだと感じた。