「新幹線国際会議」台湾で開催、どんな議論が交わされたのか 高速鉄道に関心持つ世界の要人がずらり参加
高鉄にはJR東海が開発したN700Sをベースとした車両を2026年から導入する計画がある。江会長は、「N700Sを購入するのではなく、N700Sを参考にして開発する」と説明し、やはり、台湾オリジナルの要素があることに言及した。また、その調達価格の高さを指摘する声については、「メンテナンスや財務面も考慮した合理的な価格である」と説明した。 会議では世界各国で進む高速鉄道プロジェクトの状況について、各国の担当者から説明が行われた。
まず、インド高速鉄道公社(NHSRCL)ディレクターのアンジャム・ペルベス氏が新幹線方式によりムンバイ―アーメダバード間で建設中のプロジェクトについて説明した。土地取得が難航したことにより、全体のスケジュールは当初遅れ気味だったが、橋梁の桁を現場であらかじめ製作しておき、順次橋脚の上部に架設するFSLMという工法をインドで初めて採用し、従来の工法よりも10倍速く作業が進んでいるという。 とはいえ、2026年に全区間を一気に開業するのは容易ではなく、「まず50km、次いで300km、500kmと段階を踏んで開業していくことになるのではないか」とのことだった。
■アメリカ、豪州のプロジェクトは? 続いて、アメリカ連邦鉄道局(FRA)のフレッド・モットレー氏が全米各地の高速鉄道プロジェクトについて説明した。 新幹線システムの導入が予定されているテキサス高速鉄道について述べた後は、カリフォルニア高速鉄道の最新状況である。マーセド―ベーカーズフィールド間を先行して2030~2033年に開業を目指すが、その後、マーセドからサンフランシスコに延伸する西進案と、ベーカーズフィールドからロサンゼルスに延伸する南進案の2案について、「どちらを優先するか決断しなくてはいけない局面にある」という。
ロサンゼルスについてはネバダ州のラスベガスを結ぶ「ブライトラインウエスト」という高速鉄道計画もあり、シーメンス製の車両を用いるなど詳細もすでに決まっている。ただ、「2028年という開業目標はちょっとハードルが高い」と述べた。さらに、カナダのバンクーバーからワシントン州シアトルを経由してオレゴン州ポートランドまで結ぶ「カスケーディアコリドー」というプロジェクトも紹介された。 アメリカに続いて、オーストラリア高速鉄道庁のスティーブ・ジョセフ上級部長が説明を行った。同国では労働党政権時代の2011年にブリスベン―ニューカッスル―シドニー―キャンベラ―メルボルン間を結ぶ全長1600kmの高速鉄道計画が発表されたが、2013年に労働党から自由党に政権が交代し、在来線の高速化に方針転換された。