「所得」は出生率にあまり影響しない…九州を調べて解明した「衝撃の事実」
人の集まるところに金が集まり、権力が生まれる。全国津々浦々に、知られざる「お国の事情」は眠っている――。日本中を歩いて、その深層を掘り起こした。 【一覧】あなたの知事はどんな人? 全国47都道府県「知事の履歴書」 前編記事【日本の出生数が30年でなんと半減…!】その中でなぜ「九州の出生率」がこんなに高い…家族構造に大きな理由があったより続く。
思い込みが出生率を上げる
しかしこれだけでは、西日本、特に九州の女性がたくさんの子供を産む理由までは説明できない。 前出の熊野氏は「物価の安さが子育てのしやすい環境をつくり、出生率の高さに貢献しているのではないか」と指摘する。 「出生率には、所得よりも物価の高低のほうが影響が大きいと考えられます。西日本に比べ、東日本は物価が高く、特に家賃や食費、教育費などの子育てに関係するコストが高い。子供一人を育てるのであれば、物価は高くても所得も高い東京でも問題はないかもしれません。しかし、2人、3人と増えていけば、物価が安い西日本のほうが圧倒的に子供を育てやすいと言えます」
大切なのは子育てに対する意識
こうした経済的な環境が、子育てに積極的な風土を生んでいる可能性は高い。加えて前出の益田氏は西日本、特に九州の「子育てに対する楽観的な意識」を指摘する。 「九州の人たちは、自分たちが住む場所を『子育てしやすい環境だ』と考えていることが調査でわかっています。しかし、九州が他地域と比べて大幅に子育ての公的サポートが充実しているとか、親族の協力が得られやすいといったわけではありません。住民が『わが街は子育てがしやすい』と思っていることが出生率に良い影響を及ぼしていると考えられるのです」 出生率「西高東低」の背後には何があるのか。この難題を解くことができれば、日本は少子高齢化のスパイラルから抜け出せるのかもしれない。 「週刊現代」2024年12月21日号より ……・・ 【詳しくはコチラ】《日本の出生数が30年でなんと半減…!》その中でなぜ「九州の出生率」がこんなに高い…家族構造に大きな理由があった
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