有村智恵が明かすプレッシャーのかかる場面でのマインドセット 心を整えるためにすることは
【プロゴルファーもみんな緊張している】 ――アマチュアゴルファーにも参考になりそうですね。 ずっとプロゴルファーをやっていて、何回も勝っていたら「緊張なんかしないでしょ?」と言われることも多いんです。でも、緊張はみんな当たり前にしています。「強い人イコール、緊張もしないし、ミスしてもうまく切り替えられる人」と思われがちですけど、(プロゴルファーは)みんな緊張していますし、試合でのプレーは緊張している自分を受け入れたうえでのパフォーマンスなんです。 緊張はしているけど、日頃から緊張感のなかでいいパフォーマンスをするためにはどうしたらいいかを意識して、練習して、培っている部分もありますし、ミスをしても結局、一番大事なのは次の一打です。次の一打をどうするかを常に考えないといけないスポーツなので、瞬時に状況判断をして、次の一打でいいパフォーマンスをするためにどう改善するかが大事です。 「さっきはなんであんなことをしちゃったんだろう?」と考え込んでしまうと、「なんで?」っていう思考だけで終わってしまうので、次に進むためにも「次に何をしなければいけないのか」を考え続けるようにしていました。 ――大きなミスをして焦ってしまう時には、どのようなメンタルで臨めばいいのでしょうか? 常に右に曲がっている、または常に左に曲がっている状態だったら、シンプルにそれを受け入れて、右に曲がっているなら左を向いて、スライスを打つイメージで戦えばゴルフにはなるんですけど、それが、さっき言った「受け入れる」ということなんですよね。 アマチュアの方でも、ボールが大きく右に曲がった時、その前までのショットも右に曲がっていたのであれば、常にまっすぐ向き続けることはおススメできません。もちろん、曲がらない方法を考えるのは大事なことですけど、すぐには修正できないという前提で、その日のスコアをメイクするためには、それを受け入れることが大事です。思い切って左を向いて「ちょっと右に出ても仕方ない」と思って打っていくくらいの気持ちが、絶対的に必要なことだなと思います。 でも、アマチュアの方にとっては、もちろんスコアが大事じゃないわけじゃないですけど、まっすぐ飛ばすこともゴルフの楽しさだと思うので、ナイスショットを打つ快感を得るためにトライするのも捨てがたいですよね。 >>後編【有村智恵に聞く優勝争いのプレッシャーに打ち勝つ方法 メンタルが強い女子プロは?】に続く 【Profile】有村智恵(ありむら・ちえ)1987年11月22日生まれ。プロゴルファー。熊本県出身。10歳からゴルフを始め、九州学院中2年時に日本ジュニア12~14歳の部優勝。3年時に全国中学校選手権を制した。宮城・東北高で東北女子アマ選手権や東北ジュニア選手権、全国高校選手権団体戦などで優勝。2006年のプロテストでトップ合格。2007年は賞金ランク13位で初シードを獲得した。2008年6月のプロミスレディスでツアー初優勝。2013年からは米女子ツアーに主戦場を移した。2016年4月の熊本地震を機に日本ツアーへ復帰。2018年7月のサマンサタバサレディースで6年ぶりの優勝を果たすなど、JLPGAツアー通算14勝(公式戦1勝)をあげる。2022年に30歳以上の女子プロのためのツアー外競技「LADY GO CUP」も発足させた。2022年11月に、妊活に専念するためツアー出場の一時休養を表明。2024年4月に双子の男の子を出産した。
text by Sportiva