マクラーレンの新型スーパーカー「W1」はミドシップ、後輪駆動で1275ps! お値段3.9億円で完売済。【新車ニュース】
マクラーレンの譲れないこだわり
サーキット走行では、電子制御サスペンションシステムが車高を調整。フロントが37mm、リアが17mm下がる。マクラーレンによると、これと可動式リアスポイラーによって、高速走行時に車体の浮き上がりを防ぐダウンフォースが1000kgに達するそうだ。ピレリ社が開発した専用タイヤでなければ、重力でバーストしてしまうんじゃないかと思うぐらいの数値である。 トータル出力は1275ps(938kW)、最大トルクは1340Nm。低回転域のトルクアップのために使われるEモジュールの働きもあり、静止から時速100kmまでを2.7秒で加速。時速200kmまでも5.8秒しかかからない。ふつうのSUVに乗っていたら、時速50kmに達しようかというとき、W1ははるか彼方。姿は見えなくなっているだろう。それぐらいの速さ。 しかも、マクラーレンのこだわりで、W1は後輪駆動。これは衝撃的だ。パワーと高速での走行安定性を確保するため、最近のスーパースポーツは前輪をモーター駆動するケースが多い。しかし、マクラーレンはミドシップと後輪駆動にあくまでもこだわる。 「後輪駆動のスポーツカーで、これほどの加速力と動的性能を両立できるのはマクラーレンだけでしょう」と、同社のプレスリリースでは誇らしげにうたっている。セッティングのしやすさなどを重視した結果ではないだろうか。 EVではよく、それなりの重量のある駆動用バッテリーをフロア下におさめることで、重心高が下がり、コーナリング時などで車体がより安定するというけれど、W1も同様だ。容量1384kWhに達するバッテリーを搭載する。
W1の価格は3.9億円で限定399台
車体のデザインは、見るひとが見れば、すぐにマクラーレンとわかる。自然界の事物をモチーフにした有機的な造型手法は、W1でも見られる。ただしドアの開きかたが大きく変わった。これまでマクラーレンでは、前を視点にドアがハサミのように跳ね上がるドアを採用してきたが、今回は「アンヒドラルドア」と名付けた、いわゆるガルウイングタイプになった。 それにより、車体側面の空気の流れがより効率的にコントロールできるようになったと、アンヒドラルドアの採用の理由が述べられている。ミドシップされたエンジンまわりの冷却効率も上がっているという。 もうひとつ、アンヒドラルドアのメリットは乗降性。より大きな開口部が設けられたからだ。車内は、ダッシュボードからドア内張り、それにシートにかけて、あたらしいニット素材を使う仕上げもある。マトリックス化された色が徐々に変化していくのも、視覚的な衝撃は十分以上。デザインに凝るマクラーレンらしい。最近のMINIが凝っている素材でもある。 オーディオをはじめ、車内インフォテイメントの充実も強調されており、マクラーレンではW1に一般走行も楽しめるGT的なキャラクターも与えているのが、なんとも驚きだ。たしかにこれまでのマクラーレン車はどれも、サスペンションの設定などをふくめて、長距離移動にも使える快適性を備えていたので、じつはW1でもゴルフに行けるかもしれない。 W1の生産台数は399台で、価格は200万英ポンド(1英ポンド=194円として約3億8800万円)。4年間速度無制限のサービスプランも標準でついてくる。といっても、すでにすべての車両が売約ずみだとか。