マクラーレンの新型スーパーカー「W1」はミドシップ、後輪駆動で1275ps! お値段3.9億円で完売済。【新車ニュース】
マクラーレン オートモーティブは10月7日、プラグインハイブリッドの新型スーパースポーツカー「W1」を発表した。これまで「F1」「P1」と歴史に燦然と輝く名車を生み出してきた同社の最新作を、モータージャーナリストの小川フミオが解説する。 【写真】マクラーレンの新型スーパーカー「W1」の詳細を見る!(全27枚)
F1、P1に続く第3の「1モデル」
徐々にピュアEVへと移動しつつある自動車界にあって、スポーツカーもそろそろ出尽くしたか、なんて思っていたら、英国のマクラーレンがすごいサプライズをもたらしてくれた。F1技術をふんだんに使い1275馬力を誇る「マクラーレンW1」を、2024年10月7日に発表したのだ。 まずちょっと雰囲気の変わったネーミングを説明しよう。「W」とはWin(勝利)の頭文字、「1」は最初の意味。さかのぼること50年前、1974年の10月6日に、マクラーレンはF1で初のコンストラーズ選手権を獲得した。W1の発表はこの日にちなんでいる。 W1の「1」には、もうひとつ意味がある。マクラーレンは「1モデル」という図抜けた高性能マシンを何台か手がけてきた。 F1設計者が開発に携わりル・マンでも優勝したスーパースポーツカー「F1」(1992年発表)と、驚異の高性能を誇ったハイブリッドスポーツカー「P1」(2013年)が1モデルだ。 F1は言うにおよばず、P1の車名もポジション1(1位)に由来していると言われているので、W1のネーミングもいってみれば伝統的なものだ。「1(ワン)モデルの血統に連なる」(マクラーレンオートモーティブのプレス向け資料)ことが強調されている。
F1由来の技術てんこ盛りのW1
W1は、新設計の4リッターV8エンジン(683kW)に、F1マシンを思わせる瞬発的なパワーを生み出すための、モーターとコントロールユニットを一体化した小型で高性能のラジアルフラックス型のEモジュール(255kW)を組み合わせたパワートレインを搭載。 クルマで重要なシャシーは、炭素素材を使った「マクラーレン・エアロセル」なるレースカーなみに高価なモノコック構造。F1(フォーミュラワン)から採用したフロントサスペンションは、このエアロセルシャシーに直接取り付ける。 しかも、エアロセルをできるだけ軽量化するため、シートは最初から一体化構造。シートを動かして調整する一般的なものではなく、ペダルボックス(アクセルとブレーキ)と、ステアリング系が可動式となっており、ドライバーは理想のドライビングポジションを調節できるようになっている。 1.4トンを切る超軽量ボディは、F1マシンの空力技術を応用したグラウンドエフェクトを持つ。昨今、スーパースポーツカーの開発者が口を揃えて言うのは、空力性能の重要性。特にいまは、CO2排出量低減および燃費向上が重要なテーマになっているので、走行中の空気抵抗を減らすことがそれに貢献。同時にスピードも上がり、クライアントへのアピール性も高まるからだ。 W1は先述のとおり、ボディの周囲の空気の流れを徹底的に研究。形状の最適化にとどまらず、「アクティブエアロパーツ」なる先進的技術も採用している。たとえば可動式アクティブ・フロントウイングもそのひとつ。 「マクラーレン・アクティブロングテール」と名付けられたリアウイングは必要に応じて、後方へ300mmも展開するのだ。これは特許出願中という。